Apple Watch発表、有識者はこう見る
「Apple Watchが腕時計型である最大の意義は」――高橋幸治氏
2015年03月17日 15時00分更新
アップルが「Apple Watch」の詳細を発表した。今回の発表に関して、MacとクリエイティブカルチャーをテーマとしたPC誌「MACPOWER」編集長を経て、現在はデジタル領域を中心に企業のメディア戦略などを手掛ける高橋幸治氏にコメントをいただいた。
クラウドという21世紀の脳に、
Apple Watchが身体の情報を伝える
かつて「電脳」なんていう言葉がよく用いられたように、コンピューターは記憶にしても計算にしても、とかく人間の脳を模倣する方向で進化してきた。そこに情報の伝送路としてのインターネットが登場し、今度は手足の末端まで張り巡らされた神経網が組織される……。医学の分類で言うところの脳神経系のイメージだ。
Apple Watchはクラウドの彼方の脳が解析した情報を神経網を通じて受信し、ユーザーのさまざまな情報を神経網を通じて脳に送信する端末である。では、Apple Watchが採取する最も重要なデータとは何か? これが眼鏡型ではなく腕時計型になった最大の意義なのだが、脈拍や心拍といった循環器系の情報である。
人々の日常生活におけるコンピューティングに、循環器系の情報が新たに加わることの可能性はとてつもなく大きい。人工知能などの脳神経系の肥大化は多分に“身体からの離脱”を暗示するけれども、アップルは逆に“身体の復権”にコンピューティングの未来を賭けているように思えてならない。
そして、個人的にはこの心意気に乗ってみたい。いずれ感覚器系や呼吸器系も、何らかのかたちでコンピューティングの対象領域になってくるだろうし……。
高橋幸治(たかはし こうじ)
編集者。電通でCMプランナー/コピーライター、アスキーで「MACPOWER」編集長を経て、2008年に独立。デジタル/アナログ問わず「編集」を軸にあらゆるメディアを越境的にデザインする。日本大学芸術学部文芸学科、横浜美術大学美術学部にて非常勤講師もつとめる。
この連載の記事
-
第30回
Apple
まだまだ語り足りない! Apple Watchの細かな工夫を一挙公開 -
第29回
Apple
MacBookは買いか? 極薄&超軽量、Retina搭載新マシンの実力を探る -
第28回
Apple
日本航空にApple Watch用製品も提供 - 「IBM MobileFirst for iOS」 -
第27回
Apple
写真で見る「MacBook」 - Geekbenchベンチマーク結果も掲載 -
第26回
Apple
Apple Watch: アップルによる腕時計の再定義 -
第25回
Apple
新MacBook、国内競合モバイルノートとスペック比較! -
第24回
iPhone/Mac
新MacBookは買い? 競合モバイルノートとスペック比較! -
第23回
iPhone/Mac
買う前に知る、新MacBook10の疑問 -
第22回
Apple
今こそ「MacBook Air」が買い時! 新13インチは完成度が高い!! -
第21回
Apple
Appleイベント「Spring Forward」レポート - 「Apple Watch」編 - この連載の一覧へ