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恒星内部の元素合成という宇宙の秘密に近づく

原研、裸の鉄原子を光速1/5まで加速する実験に成功

2015年03月11日 16時17分更新

文● 行正和義/ASCII.jp

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鉄を含むターゲットに高強度のレーザーを照射し、電子を持たないイオン状態の鉄原子核を加速して取り出す

 独立行政法人 日本原子力研究開発機構は3月10日、強力なレーザー光で鉄原子核を取り出し、光速の1/5まで一気に加速する実験に成功した。

 これは日本原子力研究開発機構、神戸大学、九州大学、大阪大学、ロシア合同高温研究所などの共同研究グループが行った実験。強力なレーザーを金属ターゲットに照射、プラズマ化した物質は電子をまったく持たない裸のイオン状態になると同時に、プラズマ中の電場によって加速されて物質から引き出されると考えられていたが、これまで実験で検証されていなかった。

X線分光による検出される鉄原子のエネルギー(左)とポリイミド検出器のクレーターとして検出される鉄原子(右) 

 共同研究グループでは、ペタ(1000兆)ワットクラスのレーザーと新型検出器、精密なX線分光を用いて検証、ターゲットから電子を持たない原子核を引き出すことに成功し、さらに鉄原子は光速の1/5まで加速していることを世界で初めて発見した。

 重元素を加速するのは非常に大きな粒子加速器が必用だが、この手法を用いることで、極めて短時間で壊れる重元素を実験室内で模擬的に生成・取り出しが可能となる。恒星内部や超新星爆発によってのみ生み出される重元素など、いまだ解明できていない元素合成を実験できるようになると期待される。

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