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TOKYO AUDIO STYLE 第5回

「いい音」を探る楽曲制作プロジェクト

東京女子流の楽曲完成! ハイレゾとCDの作り方の違いは?

2015年03月23日 17時00分更新

文● 構成●荒井敏郎
写真●Yusuke Hommma(カラリスト:芳田賢明)

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今回のモニター用にセッティングしたラックスマンの「プリメインアンプL-507uX」とスピーカー「ELAC BS312」

トラック・ダウンしたままの状態が「いい音」なのか!?

 ラックスマン株式会社広報担当の小島 康氏、サウンドプロデューサーの与田 春生氏、作曲家の山田 巧氏の3名の対談でスタートした本連載。制作する楽曲はダンス&ボーカルグループの東京女子流に提供されることとなった。

 松井 寛氏によりアレンジされた曲にボーカルとギターをレコーディング。加わったすべての音を含めて最終的なかたちにアレンジされた楽曲は、いよいよトラック・ダウン(ミックス・ダウン)の作業へと移される。ボーカルや楽器の音など、すべての音について、全体のバランスを見ながら音量を調整したりイコライザーで変化をつけたりしていく。楽曲ができあがる仕上げの味付けとも言える部分だ。

 今回は、最終的な音の確認環境としてラックスマンの「プリメインアンプL-507uX」とスピーカー「ELAC BS312」のセットを用意。スタジオ用の簡易的な環境ではあるが、このような高級オーディオシステムに最適な音作りをする場合に必要なポイントはどこなのか? 通常の音楽CD用のトラック・ダウンとの違いを中心に探ってみた。

川口 昌浩

レコーディング&ミックス・エンジニア。MISIAのCD、DVDの全作品を手がけている。MISIAのライヴDVD「THE TOUR OF MISIA 2002 WOWOW EDITION」は社団法人BS デジタル放送推進協会が選出する5.1サラウンド賞を受賞

ハイレゾ版と音楽CD版の音の違いを比較してみる

 この企画は、「いい音を作りたい」という目的からスタートしたものだ。ただし、「いい音」といっても漠然としていてわかりにくい。そこで、なぜ同じ音楽CDなのに音がいいものとそうでないものが存在するのか? という部分に着目し、実際に音楽CDを制作する行程を見ながら音の違いを探ってきた。

 楽曲制作の行程としては、作曲した楽曲にアレンジを加え、ボーカルとギターをレコーディングし、素材はすべてそろった状態となった。ここからは最終的な音作りである「トラック・ダウン」の作業に入る。トラック・ダウンとは「レコーディングした音や打ち込んで制作した音などの音量やバランスを調整してステレオ・2トラックにまとめる作業」のこと。楽曲の音質に大きな影響を与える。

今回は川口氏にも作業に加わってもらった

 今回、結論としては「ハイエンドオーディオでの再生用にハイレゾ版を制作して通常の音楽CD版との音質を比べてみる」──という方向性で進めることになった。実際の作業行程を同じにすることで音質の比較がしやすく、音の違いが現れる部分もわかりやすいと判断したためだ。これまでの行程の中で重要なポイントをリストアップした。

  1. ハイエンドオーディオシステムの再生を前提に楽曲を制作
  2. 通常の音楽CDとの音質を比較するため作業行程はこれまで同様
  3. 打ち込み音源は96kHz/24bitで書き出す
  4. ボーカルとギターの生音も96kHz/24bitでレコーディング

 そして以下のようなトラック・ダウン作業を進めていくことになる。

  1. 96kHz/24bitの環境を維持したままトラック・ダウン
  2. 通常の音楽CD用に最適化して書き出す
  3. ハイエンドオーディオシステム用に最適化して書き出す

(次ページでは、「トラック・ダウンはどのくらいかかる?」)

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