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業界人の《ことば》から 第133回

黒字になったのを残念がる、サイボウズ青野社長の真意は?

2015年03月07日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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クラウド事業への移行を視野に入れた、事業構造の変革

 いま、サイボウズは、2つのテーマに挑戦している。それは、サイボウズにとって、大きな転換ともいえる取り組みだ。 

 ひとつは、クラウド事業への移行を視野に入れた事業構造の変革だ。

 2014年度実績では、59億6500万円のうち、クラウドビジネスの売上高は16億8600万円。すでに28%を占めている。2015年度計画では、67億円の売上高に対して、クラウドビジネスで26億1100万円の売上高を計画。構成比は39%にまで高まる。

売上は順調に増加。クラウド関連の伸びが目立つ。株主に対してはクラウド売上の10%を配当総額として還元すると宣言。

 「まったく別の会社へと変えるつもりで、クラウドに大きく舵を切る」と青野社長。「すでに単月では3分の1がクラウドビジネス。この比率はまだまだあがる。数年後にはクラウドビジネスが半分以上を占める」と予測する。

 そして、配当についても、これまでの当期純利益の50%の配当としていたものを、クラウド関連売上高の10%の配当へと変更する。

 「クラウド関連事業への移行により、一時的に利益水準が低下する見込みであることから配当方針を変更するもの」と説明した。これも思い切った方針変更だ。

 同社のクラウドサービスである「cybozu.com」は、「信頼性の高さ が売り物だ」と青野社長は語る。

信頼性の高さを売りとしたcybozu.com

 「複数の認証プロセスによるセキュリティの強化、もしもの障害時にも短時間で復旧する自動回復機能、4重にバックアップしたデータ保護、自動化によるヒューマンエラーの防止を実現など、データセンターの信頼性だけでなく、運用面にも配慮した世界的にみてもレベルの高いクラウドサービスを提供している」と自信をみせる。

 社内専任要員によるセキュリティ品質検査に加えて、社外のセキュリティ専門会社による監査のほか、高度な外部エンジニアを対象にした脆弱性報奨金制度を活用することで、ゼロディ攻撃を未然に防ぐといった成果へとつなげている。これも信頼性の高いクラウドの実現に寄与している。

脆弱性報奨金制度も効果をあげている。

企業導入の事例

 すでに9000社以上が同社のクラウドサービスを採用。「4000人規模で利用する営業支援システムでの活用や、基幹系システムに近いところでクラウドを活用するといった大規模事例も出てきた。利用社数は、まもなく1万社に達するだろう」として、クラウドビジネスをさらに加速させる考えだ。 

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