世界で最も古い科学学会であるイギリスのロイヤル・ソサエティ(The Royal Society)は、3月6日に科学史に残る論文などをオンラインで無料公開する。
これは世界初の学術論文誌「Philosophical Transactions」が1665年3月6日に創刊されてから350周年となることを記念したイベント。また、科学史を解説するショートフィルムを公開するほか、カンファレンスや討論会などのプログラムが年内数回にわたって開催される。
Philosophical Transactionsはロイヤル・ソサエティの書記であったヘンリー・オルデンバーグが個人事業として発行したもので、後年になってロイヤル・ソサエティが正式に引き継いだ定期刊行物(現在も刊行中)。それまで科学者同士の手紙のやりとりないしは個人出版で行なわれていた情報共有を効率化し、近代科学の発展において重要な役割を果たすとともに科学ジャーナリズムの元祖とも言える。
公開される論文は、物理学ではニュートンやファラデー、マクスウェル、レーウェンフック、チューリングなど、350年におよぶ同誌の歴史で(世界の科学史にも)名を残す33点。もっとも、Philosophical Transactions掲載論文は雑誌発行1年後にはPDF化されており歴史的な論文をオンラインで読むことができるが、今回の公開においてはオリジナル原稿や手描き図表に加え、解説イラストやビデオ解説などが用意される。また、同誌のコンテンツは3月末まで自由に閲覧できる。