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持ち運ぶにはぴったり、低音はもっと出てもいいかも

重さわずか160g、サーモス真空スピーカーの音はかなり珍しい

2015年03月07日 12時00分更新

文● 四本淑三、撮影●篠原孝志(パシャ)

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 あのサーモスがBluetoothスピーカーを作ったというので、早速メーカー様からお借りして試してみました。「世界初の真空ワイヤレスポータブルスピーカー」という触れ込みの「VECLOS(ヴェクロス)」という製品です。

 サーモスはもちろんステンレスボトルで有名な、あのサーモスです。言わずと知れた真空断熱による魔法瓶のトップブランドです。このスピーカーにも「高真空二重構造」というサーモスの得意技であるステンレスボトルの製法が生かされているのだとか。

 個人的にこのブランドの製品には信頼を置いており、フードコンテナーや異様な保温性能を誇る山専ボトルなど、毎日お世話になっているわけですが、そのサーモスから、まさかオーディオ製品が登場するとは思ってもいませんでした。

 まず「高真空二重構造」が、音にどう寄与するのでしょうか。

ヴェクロスは、ブラック、ホワイト、レッド、ブルーの4色。色や質感はサーモスのステンレスボトルと変わりません

ノイズを消せるから真空エンクロージャー

 まず、内ビンと外ビンの間に空間を設け、そこを限りなく真空に近い状態にすると、真空は熱を伝えないので断熱効率が上がる。これが魔法瓶の理屈です。

 この理屈で最初に製品を作ったのはドイツのTHERMOS GmbHで、その後ずっとガラス製だった魔法瓶をステンレスで製造したのが日本酸素。この両者が一体となって現在のサーモス株式会社となっているわけです。ガラスに比べてステンレスの魔法瓶は軽く丈夫なので、現在の魔法瓶はステンレス製が主流です。

 一方、スピーカーというのは、電気信号に変換された音を振動に戻すための装置です。入力された波形の通りに空気を揺らすのが理想ですが、さまざまなところに罠が待ち受けていて、そう簡単にはいきません。

 スピーカーユニットが収まった箱、すなわちエンクロージャー自体の振動は、その最たるものでしょう。スピーカーから音が出れば、同じだけエンクロージャーの中にも音は出ているわけで、その影響でエンクロージャーも振動します。振動すると音が出ます。この音は入力された信号とは関係ない音、すなわちノイズなので、できれば消したいわけです。

 そこでエンクロージャーを頑丈に作ったり、重くしたり、素材を工夫したり、曲面で整形して剛性を稼いだりと、スピーカーの設計者たちはさまざまな工夫をしてきました。

 「でもエンクロージャーを魔法瓶で作れば音は伝わらないじゃん」というのがサーモスの発想です。真空が伝えないのは熱だけでなく、音も伝えないわけです。なるほど。

 そこでエンクロージャー内で鳴っている音を遮音すべく、サーモスお得意のステンレス製真空断熱容器にスピーカーを組み込んでみた。それが今回のVECLOSという製品です。

(次ページでは、「サイズと重さは?」)

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