このページの本文へ

“1GB=月額0.1セント”でクラウド事業者に展開「SUSE Enterprise Storage」

ノベル、Ceph+SLESベースの低コスト分散ストレージを発売

2015年03月05日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 ノベルは3月4日、Software-Defined Storage(SDS)ソリューション「SUSE Enterprise Storage」の国内提供を開始した。x86サーバーで分散ストレージシステムを構成できる「Ceph」をベースに、商用レベルの安定性や管理性を加えたもので、まずはクラウドサービスプロバイダーをターゲットに販売を進める方針。

ノベル日本法人 代表取締役社長の河合哲也氏

ストレージ業界への参入を宣言

 Ceph(セフ)は、オープンソースソフトウェア(OSS)として開発されている分散ストレージソフトウェア。専用ハードウェアではなく汎用のx86サーバーを利用し、低コストでストレージシステムを構成できるのが特徴。ブロック/オブジェクト/ファイルストレージのインタフェースを統合したユニファイドストレージであり、ノード追加によりペタバイト級のスケーラビリティを実現する。リモートレプリケーションや自己修復機能などによる、高い耐障害性も特徴。

 ノベルでは今回、Cephの“Fireflyリリース”に、同社の商用Linux「SUSE Linux Enterprise 12(SLES 12)」をOSとして組み合わせ、SUSE Enterprise Storageを完成させた。SLES 12環境に合わせてCephの最適化(チューニング)が行われているほか、GUI管理ツール「Ceph Clamari」も採用している。分散ファイルシステムはBtrfs、XFSから選択が可能。

“1GB=月額0.1セント”の戦略価格、まずはCeph普及を目指す

 発表会に出席したノベル代表取締役社長の河合哲也氏は、さまざまな領域で安価なコモディティハードウェアとソフトウェアによる「Software-Defined化」が実現する中で、ストレージもSDSになったと説明。「このSoftware-Defined化の流れに乗って、SUSEもストレージ業界に参入する」と宣言した。

 市場戦略として、河合氏が強調したのが「低コスト性」だ。SUSE Enterprise Storageのサブスクリプション価格(SLESやサポートの料金含む)は、4ノードの最小構成で年額1万ドルから。各サーバーに搭載できるディスク容量から計算して「1GBあたり月額0.1セントから」の容量単価が見込めるという。

SUSE Enterprise Storageの最小構成は4ノード(サーバー4台)。ノードの追加によって容量/パフォーマンスがスケールアウトする

 もっとも、現段階でソフトウェアだけを購入して自らシステムを構築するというエンタープライズ顧客は少ないと見られる。河合氏も、まずは「サービスプロバイダーが導入して、クラウドストレージサービスとして提供する」「サーバーベンダーやSIベンダーが、ハードウェアにSUSE Enterprise Storageを組み込んで提供する」という2つの提供モデルを通じて、Cephを浸透させていきたいと語った。すでに複数のパートナーとの話も進んでいるという。

 「すでに顧客からの手応え、Cephはこの分野の主流になるのではないかという手応えは感じている」「まずはCephを安定的に使えるプロダクトを提供し、Cephの普及を目指したい」(河合氏)

ミッドレンジアレイ以下のストレージ領域がターゲット

 また同社 SUSE事業部エバンジェリストの村川了氏は、SUSE Enterprise Storageがターゲットとするのは「ミッドレンジアレイ以下のストレージ領域」だと述べた。ノベルによれば、この領域のストレージが格納する企業データは全体の9割以上を占めており、商用Cephを適用することで大きなコスト削減効果が見込める。

 なお、SUSE Enterprise Storageでは、パラメーター変更(SSDキャッシュ容量の変更など)だけでストレージ性能を調整できるようになっている。ローエンド、ミッドレンジといったサブスクリプション(ライセンス)の区分はない。

SUSE Enterprise Storageのターゲットは、従来JBOD~ミッドレンジアレイが担ってきたストレージ領域

 なおノベルでは、販売促進施策として、サービスプロバイダー向けの「PoC支援サービス」や「半日間ハンズオンセミナー」サービスなども提供していく。

カテゴリートップへ