POWER5を8つ搭載した
IBM System P5 575
さて、話をASC Purpleに移そう。ASC PurpleにはPOWER5プロセッサー(POWER5+ではない)を搭載したIBM System P5 575(関連リンク)というマシンが利用された。
もともとPOWER5は、最大8プロセッサー(16コア)までが容易に構成できるように配慮されているが、ASC Purpleではこの8プロセッサー構成を1つのノードとし、8コアが利用された。
System P5 575というマシンはクラスター構成専用の特殊なシステムという扱いであり、1.9GHz駆動のPOWER5チップを使いながら、CPUコアの片方を無効化するという独特な使われ方をされた。
これにより共有2次/3次キャッシュおよびメモリーを片方のCPUコアで占有できるために性能が上がるという、なかなかに贅沢な構成である。ハードウェア的にも通常向けのIBM System P5 570とは異なる、独特の構成が利用された。
通常向けのSystem P5 570の場合は1つのPOWER5チップとDIMMスロット×8、それとSMI-IIというDIMMバッファを搭載したDCM(Dual-chip Modules:CPUカードの名称)を2枚、1つの筐体に収めた形になる。
この2枚のカードは、3つ前の画像にある8プロセッサー構成で言うところの、縦方向の結線となる。横方向は、筐体間を専用ケーブルでつなぐことで実装されている。
これに対しSystem P5 575では、8つのDCMと、DCM毎に8スロットのDIMM、電源ユニットと冷却ファンが2Uのシャーシに納められている。
この2Uの中で16way SMP(ASC Purpleの場合は実際には8way)の接続が済んでいる形だ。ちなみにメモリーがDDRなのかDDR2なのか、実ははっきりしない。
もともとPOWER5そのものはどちらでも可能であり、SMIを使えばDDR対応、SMI2を使えばDDR2対応になるのだが、ローレンス・リバモア国立研究所の解説ページ(関連リンク)にはDDR×8の構成と説明されている。
一方ローレンス・リバモア国立研究所のTom Spelce氏が2006年のSCI COMP 12で発表した“Early Performance Results from the LLNL/NNSA Purple Computer”という論文では明確にDDR2 512MBと説明されているからだ。
あるいは、初期システムはDDRベースで、後から追加した分はDDR2ベースというように混在していたのかもしれない。
→次のページヘ続く (目標の100TFLOPSに近い数値を達成)
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