東北大と富士通研究所は2月27日、スーパーコンピュータで実行可能な高解像度の津波モデルを共同で開発したと発表した。浸水概況をリアルタイムにかつ高解像度で予測することに貢献できるとしている。
東日本大震災では想定された地震規模をはるかに上回ったため、地震発生直後の津波高さ予報値が過小評価となり、また浸水範囲の必要性も指摘されるなど、津波予想にはさまざまな課題が残されていた。今回、東北大の津波シミュレーションモデル「TUNAMI-N2」をもとにして富士通研究所が高効率の並列化手法を開発、スーパーコンピューター「京」を用いることで津波による浸水のリアルタイム解析を行った。
シミュレーションは東日本大震災の津波を対象に検証を行い、当時の観測データを用いて即時的に得られる津波の波源を入力。詳細な浸水状況を再現するため高解像度の地形データを整備し、仙台市臨界域の南北約10kmを5m解像度でモデル化した。従来のワークステーションでは数日かかる計算を2分以内で完了した。仙台市では地震発生1時間後に津波による浸水が始まったが、今回のような高速・高解像度なシミュレーションを用いれば約10分で正確な浸水予測が可能になるという。
東北大と富士通研究所では、より広範囲な震源域を持つ南海トラフ巨大地震の想定ケースに対しても検証を進めるとしている。