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Apple Geeks 第161回

Yosemiteユーザーは注意! - 「Macで確定申告」を考える

2015年02月27日 13時00分更新

文● 海上忍(@u_shinobu)、編集●ハイサイ比嘉/ASCII.jp

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 本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。

 UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。

Yosemiteでもe-Taxは使えたが……

 先日、初めてMacで確定申告を行った。昨年も書類作成自体はMacで行ったが、ブラウザで作成したものを印刷し、それを最寄りの税務署に持参するいわば"半デジタル方式"だった。今年はいろいろ思うところあり、ついに「e-Tax」に切り替えた。データの入力から送信まですべてをMacで完結し、税務署に足を運ばずに済む"完全デジタル方式"だ。

 e-Taxとは、パソコンと国税庁の受付システムがインターネットを介して申告などのデータをやり取りするシステムのことで、利用にはパソコン本体に加えて専用ソフト(e-Taxソフト)と電子証明書を読み取るICカードリーダが必要だ。ただしe-TaxソフトはWindows版のみ、Macでは「e-Taxソフト(WEB版)」もしくは仮想化ソフト上で動作するWindowsを利用することになる。もちろん、筆者はMacでe-Taxソフト(WEB版)を利用する方法を選択した。

「平成26年分の所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税並びに贈与税の確定申告について」の「e-Taxを利用するには」によれば、2017年(平成29年)1月以降は、現在の認証方式に加え、“公的個人認証サービスに基づく電子証明書及びICカードリーダライタを利用しない”新たな認証方式を採用する予定としている。携帯電話などを利用した音声認証による本人確認を行うことで利用者識別番号を通知し、さらに暗証番号を組み合わせるようだ。

 しかし、Macの最新環境は正式サポートされていない。国税庁のウェブサイトには「Mac OS及びSafariをご利用の方は、以下のOS・ブラウザの組合せでご利用していただいた場合のみ、作成コーナーからe-Taxをご利用いただけます。Mac OS 10.7 と Safari 6.1(64ビット)、Mac OS 10.8 と Safari 6.1(64ビット)、Mac OS 10.9 と Safari 7.0(64ビット)」とあるばかりで、そこにOS X 10.10 Yosemite/Safari 8.0の記載はない。

 なぜMacの最新環境がサポートされないかだが、Yosemiteのリリースが2014年10月と、平成26年分所得税の確定申告受付期間(2015年2月16日〜3月16日、還付申告は1月5日より)に間に合わせるには日程的に厳しかったためと考えられる。e-Taxソフト(WEB版)はWindowsもサポートするが、そちらの最新版は2013年8月リリースのWindows 8.1だ(「システム利用のための環境等」参照)。

 WEB版の実装に利用されているのは「Java」だが、これが少々悩ましい。e-Taxソフト(WEB版)の場合、申告書作成のための処理はブラウザ単独の機能で足りるが、書類をe-Taxシステムに送信する手続きや電子証明書の扱いなどセキュアな部分の処理についてはJavaが担う(「JPKI利用者ソフト」というJavaアプリを使う。サイト上では「利用者クライアントソフト」と表記されている場合もある)。そこでJavaが"自己主張"してしまうのだ。

e-Tax(WEB版)をYosemiteで実行するためには、Javaランタイムのインストールが必要になる

 かつてJavaはOS XのAPIに直接アクセスできたが(Cocoa-Java Bridge)、Appleは2006年のWWDCで廃止を宣言。現在ではJavaランタイムさえプリインストールされず、Oracleのサイトから自力でダウンロードしなくてはならない。セキュリティ機構もOSから分断されているため、認証局の証明書をキーチェーンに手動登録したうえで、Javaの環境設定パネルで国税庁のURLを例外サイトリストに登録する必要がある。

Javaアプリを実行する段階になると、このような警告メッセージが。国税庁のURLを例外サイトリストに登録して対処する

ルート証明書を手作業で「キーチェーンアクセス」に登録しなければならない

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