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ウェアラブルデバイスなどの柔軟性のある電子機器に新たな可能性

早稲田大学、断線を自己修復する金属配線技術を開発

2015年02月20日 14時12分更新

文● 行正和義/ASCII.jp

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金属ナノ粒子の電界トラップによる金属配線修復の原理

 早稲田大学理工学術院は2月19日、金属ナノ粒子と電界トラップにより亀裂を自己修復する金属配線技術の研究成果を発表した。

 ウェアラブルデバイスや肌に貼り付けるようなデバイスでは、フレキシブルな電子基板が期待される。導電性の有機素材の研究開発も進められているが、導電性を考えると金属配線の必要性は依然として高い。金属の配線は繰り返して折り曲げ/伸縮させると細かな亀裂が入って断線してしまうのが難点だった。

デバイス応用のデモンストレーション。柔軟基板(ポリイミド基板)上にチップLEDが載ったデバイスを貼り、一定電圧3Vを印加、自己修復を実行した

 早稲田大学理工学術院の研究グループでは、金属ナノ粒子が含まれる液体で金属配線を覆う手法を考案。厚さ100nmの金配線の周囲に半径20nmの金ナノ粒子分散水溶液を配置し、金配線にはあらかじめクラック(亀裂)を入れた。金属配線に電圧を加えると、電界トラップと呼ばれる現象によって金ナノ粒子がクラック部に引き寄せられて架橋され、最終的に配線の電気抵抗はクラックがない状態まで自己修復したという。

金配線上のクラックを金ナノ粒子(半径20nm)により自己修復した様子

 曲げや伸縮を必要とするフレキシブルな電子機器に有望なだけでなく、一般的な電子機器でも熱膨張によって起きる配線の伸縮変形がクラックを起こして断線・製品寿命になることもあり、自己修復する金属配線の技術は有望であるという。研究グループでは、この手法に関して特許を取得するとともに、液体を封じ込める方法やゲルを利用した自己修復など、研究開発を進めるとしている。

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