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ファン御用達のコマースサイトが必要だった「ヒット率+α」

ネットでも理想の1台を!Spookが実現したマップカメラの「こだわり検索」

2015年03月02日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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検索ヒットなしでも気づきを与えられる「Spook」

 サイトの検索精度を上げるという目的で検索エンジンの刷新を検討し始めたのが、システムのリプレースを行なった直後の2013年の夏。その後、複数ベンダーとのコンペの末、導入を決めたのが、フォルシアのSpookだ。

 フォルシアのSpookは属性による絞り込みで数千万の組み合わせを瞬時に検索できる国産の検索プラットフォーム。バラバラなデータを横断して検索可能にする専用のDBとデータの最適化により、ユーザーはストレスなく情報に行き着くことが可能になる。複数の条件を組み合わせた複雑な検索を用いる旅行サイトではすでにデファクトスタンダードの存在。コンサルティングをベースに、ユーザーといっしょにサービスをすべてワンストップで開発する体制も高い評価を得ている。

 百花繚乱の検索エンジンがある中で、必ずしも知名度が高いわけではないSpookに行き着いたきっかけは、佐川氏が前職で利用したことが大きいようだ。「いい製品であること、対応が速いことも知っていました。なによりわれわれのわがままにつきあってくれた。課題に対して、確実に提案をしてくれた」(佐川氏)。

 フォルシアの提案で特に気に入ったのは、ユーザーに「気づき」を与えられるという点。検索にヒットしなくても、別の視点の代替案を提供し、ユーザーに新たな提案を与えられるというものだ。「Spookであればお客様が検索をしながら、別の視点を気づかせてあげられるという提案です。単にヒットさせるだけではなく、ほかのことを検索しているようなイメージです」(佐川氏)。高野氏も、「当初は検索精度を上げるということを目指していましたが、旅行サイトなどでのフォルシアさんの実績を見ていたら、もっといろんな検索ができるのではないかという欲望が出てきたのです(笑)」と語る。

「もっといろんな検索ができるのではないかという欲望が出てきたのです(笑)」(高野氏)

 具体的にはどういったディスカッションがあったのか? 「たとえば今のカメラであれば、ポートレートとか、風景とか、マクロモードなどのシーンがメニュー化されていますので、こうしたモードの種類を検索に盛り込みたいとお願いしました」(高野氏)。こうしたユーザーニーズを検索に落とし込む作業は、社内プロジェクトで討論を重ねたり、フォルシア社内でカメラを勉強することで進めてきた。「単純にクライアントから言われたものを作るではなく、フォルシアさんの中でもカメラが好きな人がいて、具体的なアイデアを出してもらい、助かりました」(高野氏)。こうして必要なスペック情報を洗い出し、プロトタイプを見ながら、検索ページを作ってきたという。

ネット販売でも「理想の1台」を見つけられるように

 こうしてできたのが2014年3月に搭載したマップカメラの「こだわり検索」だ。「スペック検索」を使えば、メーカーやジャンル、機能、中古/新品/委託、コンディション、形式での検索が可能になる。圧巻は「スペック」の項目で、焦点距離や開放F値、画素数、重量、最大シャッタースピード、最大連続撮影、液晶サイズなどの条件で、欲しいカメラをグイグイ絞り込める。欲しいスペックが明確になっているプロやハイアマチュアにオススメの検索だ。

さまざまな条件でスペックを徹底的に絞り込める「スペック検索」

 また、「イメージ検索」を使えば、メーカーはもちろんシーンやジャンル、機能で製品を選べる。「マクロレンズを楽しむ」「タフガイカメラ」といった機能、「LovelyPortrait」「ペットを撮ってみよう!」「サーキットへ行こう!」などはまさに提案型検索とも呼べる新しい試み。「従来、検索には必要なかったスペック情報をデータベースに登録したので、いろいろな角度でお客様の欲しい商品を探せるようになりました。もともとやりたかったことを実現できた」(佐川氏)。

「イメージ検索」のシーンタブでは提案型の検索にチャレンジしている

 高野氏は、「今回、検索のためのスペックデータベースを作ってみて、改めてカメラ選びの奥深さに驚きました。お客様のニーズからカメラ選びを考えたら、もっと違った提案もあったかも。自分たちが店員としてオススメしていたのは、ある意味押しつけだったところもあるのかもと反省しています」という新しい気づきもあったと語る。

 とはいえ、これは理想のカメラ選びを支援するための第一歩。今後はユーザーや社内の意見を取り入れ、完成度を高めていきたいという。具体的には初心者向けの検索をより充実させるほか、リコメンデーション機能の追加や買取の検索強化も進めていきたいという。

 高野氏は、「以前、店舗で買ってくれたお客様から『君から買ったカメラはすごく気に入っている』という言葉を頂き、リピートしてもらうことがあります。そういう時は、とてもうれしい。ネットでも、そんなお客様のニーズに応えられるようなカメラ選びを実現したい」と理想を掲げる。

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