荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第394回

可変式モニター搭載デジカメで撮る冬の川原猫

ボートの上でくつろいでいる猫を望遠で！

　じゃあ、ほかの猫でも探しましょうかとふらふら歩いていると、いやあ冬の晴れた日っていいもんですな。

　いつもいそうでいないボートの上に白黒猫がちょこんと日なたぼっこしてる。我々の気配をさっして座り直したが、特に逃げる気配もなく、後ろに橋が入るアングルを探して1枚。

　もっと近寄って撮りたかったけど、せっかくの日なたぼっこの邪魔しては悪い。猫には親切に。

ボートからひょっこり顔を出した猫。いい感じの日だまりだったのだ。ボートでお昼寝（もっとも、そのボートは陸にあがっているのだが）とは優雅なり（2014年12月 パナソニック LUMIX DMC-GH4）

　このあたりの猫は人に慣れていて、たぶん、散歩人たちに親切にしてもらっているのだろう、しばらくじっとしていると、茂みからちょこちょこ顔を出したり引っ込めたりする。

　斜面の途中まで出てきてあたりを見渡してるハチワレキジトラ的なきりっとした顔の猫を発見して、望遠で1枚。

　遠くからこちらを意識してない猫を撮るには望遠レンズが一番ということで。

日差しを浴びた白い毛がきれいだったので遠くから狙ってみた（2014年12月 オリンパス OM-D E-M1）

　草むらの向こうに何年も前から見かけるサビネコを発見。

　さすがに川原は風が強くて寒いんだろう、背中を丸めて小さくなって座ってる。この角度からだとやけに身体が小さくて、これ、きゅっと丸まってるからそう見えるのだ。

　この背中の丸まりっぷりがよかったので採用。

　前ページの冒頭写真もこの猫。光の当たり具合がよかったので、望遠レンズにつけかえてドアップで狙ってみた。

　で、今回のラストを飾るのは、実はiPhoneで撮った写真。座って休憩してたら、このサビネコがとことこと歩いてきて、膝にのっかってきたのだ。

　人なつこくて近くで撫でても逃げない猫ではあったのだが、膝に乗られたのははじめて。

　よし、膝猫を撮るぞ、ってんでそのまま身体を後ろに倒して猫との距離を少し撮り、あれこれ自分の足と猫をいくつかのカメラで撮ったのだが、iPhoneで撮った写真が一番「いい顔」をしてたのだ。

　なんか笑ってるように見えるでしょ。日差しを浴びて背中は温かく、腿の上に乗ってるからおなかもあたたかく、それで幸せって感じ。笑顔に見えるのはまあたまたまなんだけど、この表情が撮れてたのはiPhoneだけだったので。

iPhone 6 Plusで膝猫撮影。片手でガンバッて撮影。モニタがほとんど見えない状態でカンで撮ったのだが、いい感じに撮れておりました。目と口がそこはかとなく笑っているようで（2014年12月 Apple iPhone 6 Plus）

　いやあ実は10万円以上するカメラより、iPhoneの方がいい写真が撮れてることがままあって、それはそれで複雑な気分だったりするのである。

筆者紹介─荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい！』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』（ソフトバンク新書）、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』（玄光社MOOK）。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/