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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第54回

愛すべき「Introvert」(内向的)な時間

2015年02月19日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII.jp

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まだ2月なのにカリフォルニアではすでに桜が咲いているようです

 先週、東京から暖かい北カリフォルニアに帰ってきたら、もう桜が咲き始めていました。日本でよく見かけるソメイヨシノなどの品種に比べると、少し花も樹形も小さいのですが、きちんとピンク色の5枚の花を咲かせていました。

 ならばお花見を、と思うのは日本人らしい発想。ところがなかなかござを拡げて一杯……という場所には桜の木は植えられていないというのが筆者の住むバークレーの桜事情、その2です。街路樹に多く植えてあるので、散歩をしていて楽しめるので良いのですが。

 ちなみに、アパートの3階の窓の下にも、白っぽい花が咲き始めました。5月から6月頃にかけて、スモモのような大きな実をつけます。ところが誰も採って食べないので、熟れきって地面に落ちていくのをただただ眺めるばかり。ちょっともったいないなと思ったりしています。

「Introvert」(内向的)が
アメリカのネットでキーワードに

 筆者は普段、Google Readerの後任となったクラウド型RSSリーダー「Feedly」に登録してあるニュースサイトの記事を流し読みして、ReadItLater改め「Pocket」にクリッピングしています。

 日々のクリッピングは、Twitter(@tarosite)に流れるようにしていますので、ご興味のある方はぜひ。また、先日Flipboardへ取材に行ったのですが、こちらでも少し深めに記事を読んだりしています。

 Flipboardは「雑誌」という形でニュースをファイルできるのも良いコンテクストですよね。筆者のFlipboardの雑誌はこちらから購読できます。

 さて、そんな日々のニュースクリップの中で、先週「Introvert」という単語が頻繁に目に飛び込んできました。早速、辞書で調べてみると「内向的な性格の人」という意味です。

 なぜこの時期にIntrovertというキーワードが筆者の周りのプチトレンドになったのか分析のしようがないのですが、Fast CompanyやForbesなどのビジネス系のメディアに採り上げられていたようです。

 「内向」はユング心理学の性格類型の1つで、自分の内面、心の世界から物事を捕らえ考えるタイプを指します。逆は「外向」で、どちらかというと人間の社会においては、後者の方がエネルギッシュで明るい印象を受けます。

 柔らかい言葉を使えば、いつも周りに人が集まっている「リア充」な印象を受けるかもしれません。しかし、外向が優れていて、内向が劣っている、という定義ではありません。

日本の若い世代は内向的で、
アメリカ人は誰もが外向的でプレゼン上手!?

 昨今、日本の若い世代は「内向的」と言われており、しばしば海外の学生の積極性と比較されることもあります。ただ、アメリカで暮らしている限り、アメリカの人々が、あるいは成功している人々が、必ずしも「外向的」であるとは言えません。

 この話は、「アメリカ人がプレゼン上手」という印象を我々が持っていることと共通です。

 『スティーブ・ジョブズ脅威のプレゼン』の著者でコミュニケーションのコーチを務めるカーマイン・ガロ氏に話を聞いた際、「日本人は内向きで、プレゼンが下手だと思うか?」という質問をしてみました。

 「とんでもない!」 答えは意外なものでした。

 Jobsしかり、TEDしかり、際だってプレゼンテーションが上手な人が目立っているのであって、経営者も含めて、大半のアメリカ人もプレゼンは下手だというのです。「そうでなければ、私の仕事はなくなってしまう」というガロ氏の言葉に、妙に納得してしまいました。

 プレゼンテーションに並んで、パーソナルビルディング、パーソナルブランディングという領域も、ビジネスのスキルとして注目されます。Forbesの記事(関連リンク)では、必ずしも外向的な人が、パーソナルブランディングに向いているか、といわれるとそうではない、と指摘しています。

 みんなから好かれるのではなく、誰に好かれるのかが重要だし、自分のアピールが強いから覚えてもらえるわけでも、笑い話が得意だから印象に残るわけでもない、ということなのです。

(次ページでは、「クリエイティブと意志決定に必要な内向的な時間」)

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