栽培が難しいほうれん草の成功が、次の展開に結びつく
また、同社の住宅事業のノウハウを生かしたハウス日照シミュレーションのほか、植物の近くで局所的な最適環境の実現により、省エネを実現。ハウス内の設備機器は気流解析やサーモグラフィによる測定を行ない、最大限の効果が発揮できるように機器選定や配置設計をしているという。
「まずは、ほうれん草の周年栽培で実証を行っているが、ほうれん草は葉物の中でも栽培が難しいといわれ、特に夏場の栽培に課題があった。ほうれん草の周年栽培ができれば、他の葉物にも展開可能と見られており、導入した農家の中には、すでにベビーリーフや小松菜、水菜、春菊にも展開し始めている」とする。
パッシブハウス型農業プラントは、単棟タイプを10棟1ユニットとして販売。現在、埼玉県川越市、茨城県鉾田市、茨城県つくば市の農家への納入実績があるという。ほうれん草のような葉物は、新鮮なうちに流通する必要があるため、大規模消費地が近い、関東近郊、近畿地区などの農家が主要ターゲットになるという。
10棟1ユニットの価格が約5500万円
一般的なビニールハウスとほぼ同等
「パッシブハウス型農業プラントは、10棟1ユニットの価格が約5500万円。一般的なビニールハウスは1棟あたり150〜200万円程度。これに制御機器を導入すると400〜500万円の費用がかかる。その点では10棟あたりの価格はほぼ同等になる。投資は6〜7年で回収ができると考えているほか、農作業の手間が削減されることから、その分手が回らなかった農地での作づけが可能になり、収入増を見込めるというメリットもある」。
ハウスそのものは一般的なビニールハウスを使用。約10年の耐用年数があるという。パナソニックでは、2018年度に、2000棟、100億円の事業規模を見込むという。