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ミトコンドリア・イブのような系統樹が実現するかもしれないレトロウイルス痕跡

京大、ネコゲノムからネコの起源や移動経路を推測

2015年02月04日 17時57分更新

文● 行正和義

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新しいレトロウイルス痕跡「RDRS」の痕跡から見るネコの移動

 京都大学は2月3日、ネコゲノムの解析によりイエネコの品種起源やどのような経路で世界中に広まっていったかを推測できるレトロウイルスの痕跡を発見したと発表した。

 イエネコは約1万年前に家畜化され愛玩動物となり、シルクロード貿易や大航海時代によって世界各国に広がったとされている。2007年にミトコンドリアDNA配列の比較により、中東のリビアヤマネコが祖先だと判明されたが、品種の起源や歴史的な移動経路などは詳細は不明な点が多かった。

現在多くのイエネコが持つレトロウイルスの痕跡「RDRS C2a」から見ると、その侵入時期はベンガルヤマネコとネコ属(Felis属)が分岐した620万年前以降と推測される

 研究グループでは、感染性レトロウイルスが生殖細胞に感染した際にゲノムが書き換えられ、その痕跡は遺伝によって受け継がれることに着目。イエネコおよびネコ科動物のゲノム配列を調査・比較した。

 ウイルスによる改変遺伝子配列のうち比較的新しい配列「RDRS E3」を保有するネコは北米には多いもののアジアでは少なく、これは植民者とともにアメリカに向かったネコが保有している遺伝子配列に起因するものだと推測できる。

比較的近年になって侵入したと考えられるレトロウイルス痕跡「RDRS E3」は北米のネコにおおく見られ、米国への植民者が連れてきたネコ集団によるものと考えられる

 研究グループでは、ネコの起源や歴史、品種ごとの解明にゲノムに残るレトロウイルスの痕跡が指標として役立つことが判明したということとともに、レトロウイルスの内在過程を知る上でもネコが重要なモデルとなり得るとしている。

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