「Bloomberg Businessweek」などの報道で、グーグルが独自のタクシー配車サービスを検討しているのではないかと紹介されています。グーグルは自動運転カーの開発を独自に進めています。
一方、グーグルのシニアバイスプレジデントかつ最高法務責任者であるデビッド・ドラムンド氏はUberの取締役に就任。50名の科学者を擁する研究チームを立ち上げ、自動運転カーの開発をすすめていることも報じています。
これらのニュースについて、グーグル日本法人の広報部に問い合わせてみたところ、「記事は予想で書かれたものであり、コメントすることはありません」とのことでした。確かに、Bloomberg BusinessweekでもGoogleとUberはコメントを控えたという記載がなされていました。
自動運転カーをベースとしたタクシーサービスというのは夢のある話ですが、どうやらそういう話はまだないようです。そこで、もし日本で自動運転カーのタクシーサービスを計画するとしたら、実現に向けてどのような問題がでてきそうか、勝手に妄想してみました。
スマホでタクシーを配車、タッチディスプレーや音声認識などで行先指定
まず配車について。Uber(関連記事)や東京ハイヤー・タクシー協会(関連記事)が配信するアプリのように、国内でもスマートフォンやタブレットでタクシーを配車サービスは広く普及しています。スマホで自動運転カーを目の前に止めたとしましょう。次にすることは、行先の指定と、到着後の決済です。
行先の指定は、タクシー内のディスプレーで指定、音声認識機能で指定など、様々な方法が想定できるので、問題ないでしょう。実際にグーグルが開発している自動運転カーは、タッチパネルで目的地を設定できます。
現在タクシーでは現金、スイカなどのICカード、クレジットカードなどでの決済が可能です。しかし、無人となると現金での決済は省かれる気がします。そうなるとICカードやクレジットカードでの決済になるのではないでしょうか。さて、ここで1つの問題にぶち当たります。
クレジットカードやICカードを忘れた場合どうする?
タクシーは行先によって値段が変わるため、目的地に到着後に支払が生じます。もし乗り込んだ際にICカードやクレジットカードを忘れてしまっていた場合にどうなるか。自動運転カーなので、おそらく支払が終わるまでドアは空かない仕組みになるのではと考えた場合、閉じ込められる危険性があるのです。
普通のタクシーだと、やっぱり現金で! ということが可能ですが、無人だとそうはいきません。自動運転カーを管理するセンター的なものがあるとして、そこに緊急連絡を入れる手段があったとしても、出られるまでに相当時間がかかりそうなうえ、対応スタッフの数も膨大になりかねません。ただ最近ではアプリなどにクレジットカード情報を登録し、あとから決済するサービスが主流なので、大きな問題にはならないでしょう。
故障やハッキング対策はどうする?
現在開発中の自動運転カーは、センサーを取り付け、前後左右の道路や他の車、自転車や歩行者などを検知して自動走行します。実際に、グーグルとボルボがこの方法による路上走行デモンストレーションを実施していますし(関連記事)、現実味を帯びてきています。しかし、もしそのセンサーが故障してしまうと大事故につながりかねないですし、ハッキングされると姿を見せずに人を誘拐……といった事態にもなりかねません。故障したりハッキングを検知したら即座に停まるなどの対策が必要になりそうです。
こういった機器の安全状況をどんなふうに集約して管理するかのシステムが重要になってくるのは言うまでもありません。
急いでるのに加速、近道ができなさそう
私がタクシーに乗る場合は、終電がなくなってどうしても帰りたい場合か、ものすごく急いでいる場合です。ものすごく急いでいるときに、自動運転だと渋滞している道を避けられなかったり、近道を行ってくれないなど、融通が利き辛そうです。
また、グーグルが開発している自動運転カーは安全性を考慮し、走行速度は時速約40キロに制限されているようです(関連記事)。これでは、急いでいる時に利用できません。渋滞につながらないかなど、不安を感じる面もあります。
お酒を飲んで寝ちゃった。どうする?
タクシーで話題になるのが、酔っ払いとのトラブルです。寝ちゃって行先で起きてくれないだとか、些細なことで言い合いになったりだとか、たまに交番の前に停まって運転手が途方にくれている姿を目撃します。
もし自動運転カーに乗った客が寝てしまった場合どうなるのでしょうか。酔っ払いはアラームなどでも起きなさそうですし、お金もまともに払えない状態の方もでてくるでしょう。さらに、もし嘔吐なんてされた日には、そのまま次の客のところへ向かうわけですから、汚れた自動運転カーが来たなんていう苦情にもつながりかねません。
タクシーに乗る人は様々なので、その点に自動運転カーがどう対応するのかというのが、大きな課題となりそうです。
一定区域の中なら活躍するかも!
以上のような問題を考えていて思いついたのが、地区ごとに自動車運転カーを配車するという方法です。地区に1つタクシーのステーションを設置し、そこで管理すれば色々と解決するのではないでしょうか。
地区内であれば、決済する手段がなくてもステーションに行けば空いていてそこで現金支払いができるだとか、ハッキングされても地区外に出ないシステムにするだとか、問題の解決策がいろいろ見えてきそうです。地区内での運営であればそもそも急いどこかに行きたい人は使用せず、年配の方や子供がいるお母さんなどに使用してもらうようにすれば、大量に台数を用意する必要もないですし、安全性を考慮してゆっくり走っても問題ありません。
とまあこれは一例で、色々制限は出てきそうですが、自動運転カーの開発が進んでいる今、タクシーとして利用するというのもありえない話ではないですし、もしそうなったら一度は乗ってみたいですしね。しかし、実現するとしてもまだまだ先の長い話になりそうですね。