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VGAを限界まで活用できるMSI製ノート「GS30 2M Shadow」の実力をチェック

2015年02月03日 12時00分更新

文● 加藤 勝明

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ビデオカードの性能をフルに活かせるG-Dock

 ではGS30 2M Shadowの肝ともいえるドックをチェックしてみよう。ドックの大きさは幅364.4×高さ209×奥行き197.7mmと、本体よりもやや幅広の作りで、一見すると大型の外付けスピーカーにも見える。

GS30 2M Shadow専用ドック。前面下部は通電時に赤く発光する。また、ドックは本体よりも左右に2センチほど広い

 天井部分に可動式のトレーがあり、これに本体を載せてレバーを動かすことで、本体後部に隠されたコネクターとドック本体がPCI Express 3.0で直結される。

ドックと本体を合体・分離させるにはドック右側のレバーを使う。レバー奥側(写真左)の状態で本体を載せ、レバーを手前側(写真右)に引けば、正確にドッキングできる

 内部スロットはPCI Express x16接続(帯域は256GT/sec)なので、構造的にはデスクトップPCがビデオカードと接続するのと何ら変わらない、というのがGS30 2M Shadow最大の売りだ。

 デルのGraphics AmplifierはPCI Express 2.0 x4(帯域は40GT/sec)接続であることを考えれば、どちらがビデオカードの性能を極限まで引き出しやすいかは自明だろう。

GS30 2M ShadowにGTX980を追加し、「GPU-Z」で接続状況を確認。Bus Interface欄(図中赤枠部分)を見ると、しっかりPCI Express 3.0のx16接続であることが確認できた

 さらにこのドックはCPUのPCI Expressを単に引き込んでいるだけでなく、チップセット側の信号線も引き込んでいるため、ビデオカード以外の拡張もできるという点がおもしろい。

 ドック使用時はUSB 3.0×4基にギガビットイーサ(Killer LAN)1基、ヘッドフォン/マイク端子が追加されるほか、本体内蔵スピーカーのかわりにドック前面に内蔵された2.1chスピーカーで大迫力のサウンドも楽しめるようになる。

 ダメ押しにドック内シャドウベイにSATAのHDDやSSDを追加(別売)可能など、薄型ノートの弱点を根本的に補うデバイスなのだ。このSATAもASMediaなどのオンボードチップを使わず、チップセットのものをそのままドック内に引き込んでいるので、性能に関しても申し分ない。

合体時は右側の有線LANやUSB 3.0ポート×4などが利用可能になる。ドック側の電源スイッチひとつで本体の電源もまとめて投入可能だ

電源と画面出力はドック左側から接続する。裏側は壁に押し付けられるが、その分ドック左右に少々スペースを確保しなければならない

ビデオカード装着時は、ドックのフロントパネルを外すだけ。HDD/SSDも追加する場合は、下側のスチール製ステーも外そう

フロントパネル裏には2.1chスピーカーユニットが仕込まれている。出力は左右5W+ウーファー5Wなので、下手なスピーカーよりも迫力たっぷりのサウンドが楽しめる

 ドックに格納可能なビデオカードは、ブラケット部分が2スロット厚のものであれば、クーラー部分が3スロット厚でも問題なく収容できる。横幅も十分確保されているため、長さ310mmクラスの大型カードでも問題ない。

 ドックには450WのSFX電源が内蔵されており、8ピン×2系統の外部電源が用意されているため、GeForce GTX 980はもちろん、Radeon R9 290Xクラスであっても安心して動かせる。ちなみに合体時はドック側の電源ユニットから本体へ電源が供給されるため、配線をあれこれつなぎかえる手間は不要だ。

ドック内部には、PCI Express x16スロットが1本のほか、SATAコネクターも1基(24ピンパワーコネクターのすぐ横)搭載されている。下半分は電源などが占める

実際にMSI製ビデオカード「GTX960 GAMING 2G」を入れてみたところ。2スロット厚で長さ31cm、外部電源8ピン×2までのビデオカードなら問題なく格納可能だ

追加ストレージはドック底部のこのシャドウベイに格納しよう。ノートPCに内蔵できない大容量HDDを内蔵するのがベストだ

 ただしドックと合体する際は内蔵GPUと本体のフルHD液晶はシステムから完全に切り離されてしまうため、別途液晶ディスプレーが必須になる。

 おのずと液晶とキーボード&マウスをドックに常時接続しておき、帰宅したらドックと合体させてガッツリゲームで遊ぶ、という運用になるはずだ。

 この点はノートPC本体の液晶へビデオカードの出力を戻せるデルのGraphics Amplifierの方が優れているが、そのためにはOptimusのようにビデオカード側のフレームバッファを本体側に転送する仕組みを設けなければならない。

 その分余分なコストがかかるうえ、性能上のボトルネックを引き起こす可能性もある。GS30 2M Shadowの仕様はやや不便ではあるが、実に理にかなっている。

本体のみ(写真左)とドック合体時(写真右)のデバイスマネージャーを比較。合体時は内蔵GPUがPCI Expressツリーから消え、かわりにCPUに内蔵されたPCI Expressコントローラーの下にビデオカードが出現(図中赤枠部分)。さらにドックに追加したストレージデバイスも、チップセット内蔵SATAコントローラーの下(青枠部分、Intel RAID 0 Volumeは本体内蔵のもの)に追加される点にも注目

→次のページヘ続く (ドックにビデオカードを差してベンチマーク開始

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