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Google AdWordsでスマホアプリを宣伝する方法

2015年01月30日 11時00分更新

文●池村 修/エキサイト

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 スマートフォンアプリのマーケティングノウハウを紹介する本連載。前回の記事では、アップルの広告配信プラットフォーム「iAd」の出稿方法と効果について、エキサイトの事例を基に解説しました。

 今回から2回に分けて、グーグルの広告配信プラットフォーム「Google AdWords」によるアプリの広告宣伝の方法を紹介します。

オンライン広告プラットフォーム「Google AdWords」

 AdWordsは、グーグルが提供するインターネット広告サービスです。検索結果ページに表示されるリスティング広告が有名ですが、ほかにもGoogleのアドネットワークである「Googleディスプレイネットワーク」のパートナーサイト/アプリや、YouTubeにも配信でき、Webサイトだけでなくアプリの宣伝に利用できます。

 AdWordsの特徴は、Googleアカウントがあればすぐに出稿できる手軽さと、セグメント設定の柔軟さです。AdWordsでは、ターゲットOSや年齢・性別などのユーザーセグメントを設定して配信できます。たとえば、過去にインストールしたことのあるアプリやカテゴリーから親和性の高いアプリに対して広告を配信し、インストールを獲得する、といった施策が打てます。

 また、Android向けアプリの場合は、面倒な設定なしにダウンロード数の計測ができるメリットもあります(iOS向けアプリの場合はSDKの設定が必要)。

アプリの広告宣伝に使えるAdWordsのフォーマット

 AdWordsで配信できる広告フォーマットには、テキストとURLで構成される「テキスト広告」、いわゆるバナー広告である「イメージ広告」、YouTubeなどに掲載する「動画広告」などがあります。このうち、アプリの宣伝には以下のフォーマットがおすすめです。

  • アプリインストール広告:広告文とアプリのアイコンを表示し、アプリストアへ誘導する広告
  • アプリエンゲージメント広告:あるアプリをインストールしているユーザー向けに、アプリを起動して特定のアクションを促す広告(Androidのみ対応)
  • イメージ広告:ディスプレイネットワークで配信される、いわゆる「バナー広告」
  • 動画広告:YouTubeの動画コンテンツの冒頭、検索結果などに表示される広告

 「アプリインストール広告」と「イメージ広告」は今回、「動画広告」は次回解説します。

AdWordsでモバイルアプリのインストールを促進

 「アプリインストール広告」は、モバイルアプリのダウンロードを促進する広告です。広告文とアプリのアイコンで構成され、タップ(クリック)するとダウンロードページへ遷移します。

AdWords出稿イメージ

 アプリインストール広告は、AdWordsの管理画面からアプリのストア(Google PlayまたはApp Store)を選択し、アプリIDもしくはアプリ名で検索して対象のアプリを決定します。広告のリンク先は自動的にストアのダウンロードページのURLに設定されますので、タイトル(見出し)と説明文を入力するだけで広告が作れます。

AdWords アプリインストール広告設定イメージ

 アプリインストール広告は、検索ワードからの流入が多いので、検索ワードとアプリとの関連性を考慮して作成します。たとえばエンタメ情報に強いアプリであれば、芸能人の名前、トレンド情報に強いアプリであれば、「花火」や「ハロウィン」といったイベント名で高い効果が見込めます。

イメージ広告でインストールを促進

 バナー画像を配信するディスプレイネットワーク広告の「イメージ広告」でも、リンク先URLをストアのダウンロードページにすることで、アプリのインストールを促進できます。イメージ広告はGoogleディスプレイネットワークのパートナーのうち、イメージ広告の掲載を許可したサイトやアプリに表示されます。

AdWords イメージ広告設定イメージ

 イメージ広告のクリエイティブは、アプリの特徴を簡潔にまとめ、アプリと一目で分かるようにアイコンを入れると良いでしょう。クリエイティブは複数作成し、配信結果を分析して効果の高いクリエイティブにブラッシュアップしていきます。スマートフォンでも表示されるので、文字や画像が読めるように、サイズには気を遣いましょう。イメージ広告の要件はこちらで確認できます。

広告を配信するユーザーをセグメントする

 AdWordsは、キーワード、プレースメント、インタレストとリマーケティング、性別、年齢などを組み合わせて、配信対象となるサイトやアプリをセグメントできます。

キーワード

 ユーザーがアプリを検索する際に使いそうなフレーズを選択します。右の候補から追加し、キーワードプランナーを使用して、候補となる他のキーワードやトラフィックの予測データ、キーワードの組合せによる新しいキーワード候補を取得できます。

AdWords キーワード設定イメージ

プレースメント

 広告を掲載するWebサイトやアプリを選択できます。選択したプレースメントの中から関連性の高い場所へ広告が表示されます。除外したいプレースメントも選択できます。設定したプレースメントの推定リーチが右側に表示されます。

AdWords プレースメント設定イメージ

インタレストとリマーケティング

 ユーザーリストまたはリマーケティングリストを選択することで、特定の興味や関心を持ったユーザーや過去にサイトに訪問したユーザーをターゲットとして設定し、効果的にアプローチできます。アプリ内リマーケティング方法についてはこちらで確認できます。

AdWords インタレストとリマーケティング設定イメージ

ターゲットデバイスとOS

 ディスプレイネットワークだけのキャンペーンでは、広告掲載先のOS(バージョン含む)、端末のモデル、通信キャリアやWi-Fiなどを細かく設定できます。

AdWords ターゲットデバイスとOS設定イメージ

性別、年齢

 特定の性別、年齢を指定することで当てはまる可能性の高いユーザーへ効率よくアプローチできます。たとえば女子系情報アプリであれば、「女性のみ、34歳以下」といった具合にターゲットを絞り込めます。年齢は、18-24/25-34/35-44/45-54/55-64/64歳以上から選択できます。

AdWords 性別、年齢 設定イメージ

地域

 指定した地域にいるユーザーだけに広告を表示できます。国や国内の市・地域、ある特定の地点の周辺などを指定します。たとえば首都圏にユーザーが偏っているアプリであれば、首都圏以外のユーザーをターゲットにし、ユーザーを全国的に増やす施策にできます。下図はQRコードアプリに表示されたバナー広告で、実際に福岡にいるときに表示されました。

AdWords 地域を選択した広告例

 以上のように、AdWordsではセグメントを細かく設定できますが、Facebookモバイルアプリインストール広告のように、まずは配信ターゲットを細かく分けずに配信するのがおすすめです。データがたまってから、各セグメントの効果を見て調整します。たとえば、全年齢に配信しても、配信後どの年齢に一番効果があったのかを把握してからのほうが、より効果の高いセグメントに予算を振り分けられます。クリエイティブのA/Bテストを実施したり、アプリのカテゴリーやキーワードを入れ替えたりして、効果を検証していきましょう。

エキサイトで実施したAdWrodsアプリ広告

 エキサイトで実施したAdWords広告のキャンペーン事例を紹介します。エキサイトでは、注力アプリである「エキサイトニュース(iOS)」のインストール拡大を目的にイメージ広告を出稿しました。AdWordsへの出稿では決めるべき要素がたくさんありますが、ここでは配信したセグメントについて紹介します。

イメージ広告は広く配信しセグメントしながら効果を上げる

 配信先をアプリ内の広告エリアに絞り、はじめはセグメントをかけずに広く配信しました。配信後、効果が出にくいセグメントを配信停止したり、効果が出始めているセグメントに予算を投下したりしていきます。

 各セグメントでコンバージョンが明らかに低い数値(一桁など)は排除対象にしていきます。たとえば「年齢」では、「コンバージョンに至ったクリック率」が低い「25-34」を削除対象にします。

 配信開始時期はコンバーション単価が高く出ていますが、効果のある面に集中することで、コンバージョン単価は日を追うごとに落ち、400円近くまで下がりました。

 FacebookやiAd同様に、広く配信するところから開始し、キャンペーンごとにクリエイティブやセグメントの効果を検証し、PDCAを回します。

 次回は、YouTube動画広告を紹介します。

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