さまざまな使い方ができそうだが
やはり電子ペーパーとしての使い方が基本
DPT-S1は専用のブラウザーを搭載しているので一般的なウェブ画面を表示させることも可能だ。しかし、液晶パネルではなく電子ペーパーという極めてユニークな表示素子技術のため、表示スピードや再描画ではそれほど快適な道具とはならないだろう。
必要ならグラフィック非表示などのオプションを使い、快適な検索デバイスとして使うこともできるだろう。
DPT-S1はやはりA4サイズに限りなく近いサイズの“紙のようなイメージ”を持った“PDFビューワー”専用機だと考えるべきだ。DPT-S1が本来持っていない能力に過剰に期待してしまうと本来の商品のよさを見誤ってしまう危険性があるのでここは要注意だろう。
極めてニッチな使途ではあるが、その部分を求めるユーザにはなくてはならない存在のハードウェアとなるだろう。
筆者の典型的な使用法は、DPT-S1をUSBケーブルで普段使いのデスクトップPCと接続し、Wordの文章や、PowerPointのプレゼンチャートなどを紙に印刷する代わりに、DPT-S1にPDF出力するという「パーソナル・ペーパーレス活用」がメインだ。
DPT-S1上に表示されたPDFファイルは極めて見やすく、専用スタイラスで追加の書き込みもマーカーによる強調表示も簡単だ。
1200×1600ドット、13.3型の表示機能は、DPT-S1を横位置で使い、PowerPointファイルを同時に9ページ分表示させても、その中の1ページに記述されている14ポイント程度の文字なら難なく読み取ることができる快適さだ。
筆者はオフィス環境以外でもクラウドリンクの機能を確保し、どこでもPDFビューワーとして活用するためにWiMAX2+モバイルルーターとDPT-S1を常時持ち歩いて、モバイル環境でもペーパーレスの実現のための要素と個人的な価値の検証をはじめ出した。Wi-Fiオン時でもバッテリー駆動は約2週間もあるので実現度は極めて高い。
法人向けとはいえ10万円超はちょっと高い!?
ソニーデジタルペーパー(DPT-S1)は、法人限定のテストマーケティングというスタイルをとってはいるが、ビジネスエリア限定のプロダクトだと考えても現状の販売価格である10万5840円はクレージーだ。
今後も特別なアプリケーションを前提にユニークな販売方式をとり、現在の価格体系を維持することは可能だろうが、電子ペーパー以外の機器の辿った道を見てみれば、長続きするとは思えない。
いずれやって来る次回の電子ペーパー技術革新の時がチャンスでもあり、撤退の時になるかもしれない。今のDPT-S1よりあと50%筆記時のパフォーマンスがアップしたWAN対応のニューデジタルペーパーが半額で登場すれば、引き続き筆者はソニーデジタルペーパーのユーザーでいたいと思っている。
今回の衝動買い
アイテム:デジタルペーパー「DPT-S1」
価格:ソニーストアにて10万5840円で購入
T教授
日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。
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