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「ネットとリアルのごちゃまぜ化」ハンズ流オムニチャネルの仕組み (1/2)

2015年02月23日 11時00分更新

文●野本纏花

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 前回の「最新トレンドの成功者から学べ! ECサイト研究レポート」では、東急ハンズアプリの狙いや、開発の経緯について紹介した。今回は、東急ハンズのオムニチャネル戦略について、詳しく紹介しよう。

オムニチャネルは“ネットとリアルのごちゃまぜ化”

「すべてはお客さまに東急ハンズで楽しい買い物体験をしてもらうため」と話す緒方氏

 オムニチャネルへの積極的な取り組みで知られる東急ハンズ。そもそもオムニチャネルという言葉が流行する前から「ネットとリアルをごちゃまぜ」という表現でリアルとネットは意識してきた、と東急ハンズ オムニチャネル推進部オムニチャネル課の緒方恵氏は話す。

「すべてはお客さまに東急ハンズのお店で、もっと楽しく買い物を体験してもらうためです。リアルをフォローするためにネットを活用するという考え方は、ずっと変わっていません」

 ネットストアの運営とソーシャルメディアの活用は、O2O、つまりオンラインからオフラインへの送客が主な役割だ。加えて、スマートフォンアプリ「東急ハンズアプリ」の投入によりオフラインからオンラインへの手段もできた。「ネットストア」「ソーシャルメディア」「スマートフォンアプリ」の3つで東急ハンズのオムニチャネル戦略の器は整ったのである。

オムニチャネルを実現するためのしくみ作り

 戦略を実行に移すために緒方氏が取り組んだのが、現場のオペレーションの仕組み作り。東急ハンズではアプリのリリースにあたって、一部を除いて全店の商品をネット購入できるようにすること、売上を“どこにつける”のかという2つの課題があったという。

 東急ハンズでは、新宿本店で取り扱っている16万点のうち約10万点をネットストアで販売し、新宿店の在庫から発送している。だが、今回のアプリの投入でネットストアの取扱商品を全店で扱っている70万点にまで拡大するため、新宿店にはない他店の在庫も発送する必要が生まれた。

 そこで、顧客の注文に応じて他店から出荷する仕組みと、他店の商品を新宿店に集めて出荷する仕組みを構築した。たとえば、池袋店でスキャンした商品がアプリで注文されると、新宿店に在庫があれば新宿店が発送業務を引き取って直接顧客に発送する。池袋店にしかない商品と横浜店にしかない商品の複合注文の場合は社内便で新宿店に集約して発送する。

70万点の商品がアプリから購入できるしくみ。コストのかからない社内便を活用して、いったん商品を新宿店に集め、新宿店に常駐している出荷部隊が発送する

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