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各種物流サービスが拡充…通販業界14年総括(4)

2015年01月23日 09時46分更新

記事提供:通販通信

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 2014年は「送料無料化」「即日配送」「宅配ロッカー」など、物流サービスに関連したニュースが多かった。そのなかでも「送料無料キャンペーン」や「送料無料購入額の引き下げ」などが多数を占め、「送料無料」がキーワードとなる年だった。

「送料無料化」サービスが頻発

 通販通信でも、送料無料に関連した記事は多かった。「DeNAショッピング」の食品・飲料・日用品を扱う「EVERY MART(エブリマート)」が送料無料となったほか、多くの通販会社が1週間から1カ月程度の期間で「送料無料」を掲げたキャンペーンを実施した。

 「SEIYUドットコム」では、期間限定で送料無料購入額を1980円に値下げしたところ、通常の1カ月間平均と比べて受注件数が2倍に伸長。昨年2月に値下げを終了する予定だったが、値下げ期間を延長している。また、ケンコーコムは、購入総額1900円以上で送料無料としたほか、同社が運営する「楽天24」で、送料無料購入額を3900円以上から1880円以上に引き下げた。
 
 送料の無料化・無料対象額の引き下げを実施する企業がある一方、送料無料をやめる企業もあった。スタートトゥデイは昨年10月から通販サイト「ZOZOTOWN」で実施していた「全品送料無料サービス」を取りやめ、購入額が2999円以下だった場合は、送料350円とした。

「送料無料化」は有効だが…

 通販は店舗がなく、購入者の自宅や受け取り指定先のコンビニなどに商品を配送するため、物流は切っても切れない関係だ。店舗で商品を購入するためには、店舗まで出向く必要があり、電車賃やガソリン代・駐車場代などがかる場合が多い。また、購入した商品を自宅まで持ち帰る手間がかかる。商品を自宅まで届けてもらうのであれば、配送料がかかるのは当り前だ。しかし、なるべく安く購入したい消費者にとっては、店舗購入の際に必要な交通費や商品を運ぶ手間が理解されず、配送料の負担に難色を示す傾向がある。Amazonが通常配送料を無料化したこともあり、その傾向は一層高まり、「送料無料」が消費者に根付いた。
 
 市場調査レポートのニュースでは、購買の後押しになる要素は、「送料の有無」が「非常に大きな影響を与える」と回答した人が最多で、「レビューなどの評価」を上回る結果が出た。「送料無料化」は消費者が通販を利用するハードルを下げ、売り上げ拡大にもつながる。しかし、企業側のコスト負担が利益を圧迫する危険性もあり、中小企業は実施するリスクが高い。通販物流代行会社のイー・ロジットの角井社長は「送料無料はキャンペーンとして使用するのが、一番効果的。通常配送で無料化すると、やめることができなくなります」と語っている(コラムより)。

「再配達防止」への取り組みが活性化

 送料無料化だけでなく、即日配送の拡充も話題となった。「ZOZOTOWN」では首都圏に加えて、関西エリアでの即日配送を開始。アマゾン ジャパンは、出品者出荷を当日配送にする「マケプレ当日お急ぎ便」を開始したほか、「当日お急ぎ便」の受け取り場所にヤマト営業所を追加した。

 その他にも物流に関する話題は豊富だった。楽天が専用宅配ロッカー「楽天BOX」を大阪府と福岡県の駅構内などに設置。商品の受取方法を拡大した。アマゾンジャパンは日本郵便と住環境メーカーのナスタと協力し、大型郵便に対応する次世代ポスト「Qual」(戸建住宅用)・「D-ALL」(集合住宅用)の販売を開始した。再配達を防ぐ取り組みも進んだ。

 物流サービスの進展は、通販業界の市場拡大と連動している。2015年も通販をサポートする新たな物流サービスに注目が集まる。

(了)

(文・山本剛資)

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