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2015年、オープンソースはデータ無秩序化にどう備えるか

2015年01月16日 12時00分更新

文● Matt Asay via ReadWrite

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企業データが複雑化する中で、オープンソースが希望となる。

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人間が進歩していると信じる人にとって、今年はよくない年になりそうだ。少なくとも、企業ソフトウェアが指標だとするならば。

もっと厳密に言うと、企業データが指標だとすれば、だ。

小説家チヌア・アチェベが言うように、我々はデータを役立てるテクノロジーを考え出し、それを利用するにつれて、物事は破綻へと向かうのだ。データレイクからモノのインターネット(IoT)、プライベートクラウドに至るまで、2015年には無秩序がより顕在化するとみられる。一方で、その制御にオープンソースがますます役立つとも予想される。

データはより混乱したものに

ビッグデータは非常に複雑であり、そのなかでも、データレイクはカオスとも言える状態にある。

メーカーは「データレイク」という楽観的な見方をこのところ売り文句にしてきた。「データ・ウェアハウジングの計画する場合、Hadoopを使えば、前もって完璧な統合を目指す必要はありません。のちのち構文解析で利用できるように、(企業の)種々異なる記録を元々のフォーマットで保存することができるのです」とPwCは宣伝している。換言すれば、自分のデータを全部データレイクに投げ入れて、都合のいい時にそれを利用しなさい、ということだ。

Hortonworksはデータレイクを当てにして株式を公開した。上手くいかなかったのは不運であるけれども。

「2018年には、利用するかどうかも分からないのに収集した情報資産に呑まれてしまうため、データレイクの90%が無用になるだろう」とガートナーがその状況を示している。これでも楽観的な見方かもしれない。

結局のところ、ガートナーのニック・ホイデッカーが別の投稿で語るように、「データレイクには意味の一貫性や制御されたメタデータが欠けており、(データレイクは)顧客がデータの操作や分析において高度に熟練していることを前提としている」のである。しかし、2014年の最重要なテーマとなったのは、企業にこれらのスキルが欠けていることであった。そしてマッキンゼー・アンド・カンパニーの分析で示されているように、企業は必死に、ほとんど無駄ではあるのだがスキルを手に入れようとしているのである。

しかしこの状況はデータレイクに限ったことではない。

モノのインターネットは複雑な「基準」の沼といった様相で、2015年も状況は良くなりそうにない。事実、ガートナーのアル・ヴェローサは「多数のプロバイダから解決策を生み出すIT企業」以外に、「2020年、モノのインターネットを利用する強力なビジネスエコシステムのプラットフォームは扱えない」と推定している。

私は以前にモノのインターネットにおける基準の重要性、そしてオープンソースが有力な基準をどう発展させうるかについて書いた。しかし、モノのインターネットについて真剣に考えなければならないと企業が悟ったのが2014年だった。ならば、2015年は標準化がされていないため、企業が挫折を味わう年であると言えそうだ。

クラウドを見渡すと、現状より良くなりそうもない。

クラウドは雲のごとく曖昧に

Amazon Webサービスが、グーグルや、とりわけマイクロソフトと真剣に競争を行うようになったのは良いニュースである。それによって、企業は作業負荷をパブリッククラウドに任せやすくなるからだ。

しかし、プライベートクラウドに未練のある企業にとって、見通しはまだ立たない。

例えば、OpenStackは実際にはまだ軌道に乗っていない。寄せられている批判の中にはあまりに否定的だとみなされるものもある(「委員会の設計による、ゴミとボンドでできた継ぎはぎソフトウェアだ」とすら言われる)。この批判は、レッドハットのような主たる企業でさえ、OpenStackからまだ大きな利益を得ていないということを教示している。

マイクロソフトのマーク・ルシノビッチが嘆いているように、OpenStackは「十分に成熟していないし、十分な拡張可能性も、安定性もない」。そのため「始動するのも維持するのも非常に困難である」。こんな状態なので利用が進まないのだ。

それ以外は素晴らしいのだが。

急速な悪化

とはいえ、我々にとって運命は暗いばかりではない。事実、コンピューティングの非常に多くの分野で、現在大規模な実験が行われている。未来を見出そうと実験を繰り返すうちに、無秩序化が進んでいることを私は目にしているわけだ。そのような状況では混乱が生じるのが常だ。

何よりも私に希望を与えているのは、これらの問題をオープンソースを利用して解決しようとする傾向が高まっていることだ。

関連記事:2015年、ビッグデータは成長期へ

いや、常にそうだというわけではない。AWSはオープンソースで構築されているが、オープンとは言えない。フリー・ソフトウェア運動を予言したリチャード・ストールマンがUberについて見解を述べているように、主要なモバイルアプリケーションには制限がつきものであるからだ。

しかしこれらは例外なのだ。過去10年で構築された事実上最も重要なインフラがオープンソースで作られているのは事実だ。オープンであることは、LinuxやHadoop、その他多くのプロジェクトが示しているとおり、時間とともに組み合わされて利用されていくものだ。

したがって、2015年は2014年よりも混乱が巻き起こるだろう。しかし、オープンソースが業界に長期的な明るい兆しをもたらすだろう。

トップ画像提供:Shutterstock

Matt Asay
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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