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スマホを手にした顧客をつかむため小売業がBeaconに寄せる期待

2015年01月12日 15時00分更新

文● 末岡洋子

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Beaconのメリットはコストが低いこと
スパムにならないよう関連性のある情報を送るのが重要

 イベント中、モバイルマーケティングの仏MoPartnerの話を聞くこともできた。同社は、店内モバイル広告製品でBeaconを利用しており、いくつかの実験を展開している。たとえば、スポーツブランドのReeboxとフィットネスのLes Millsが共同展開したイベントの「The Project」では、Beaconを利用して来場者に情報を発信した。

 会場は複数のフィットネスゾーンに分かれており、入口に設置したBeaconではイベントのコンセプトや会場の案内などの情報をプッシュする。各ゾーンではそのフィットネスに関連した情報を送り、Reeboxのショップではクーポンを配信したという。3日間の会期中1000人単位の来場者があり、100人単位がオプトインしたという。

 同社はまた、Club Medのジム部門Club Med Gym向けに行なったキャンペーンでもBeaconを利用した。キャンペーンの目的は加入者を増やすため。そこでLesMillsのフィットネス利用者向けのアプリで、Club Med Gymの年会費が半額になるなどのクーポンを配信したところ、3万人が広告をクリックした。最初の1ヵ月で7万ドルの売り上げがあったという。

 MoPartnerのジェネラルマネージャー、Aurelie Guerrieri氏はBeaconの長所として、

・簡単に実装できる
・投資対効果

を挙げる。

 1つ目の「簡単に実装できる」は、具体的には「設置はすぐに終わり、スタッフの教育も不要。ERPなどバックエンドシステムとの統合などの複雑な処理も不要」とのこと。さらには、上記の2つのビーコンを用いた実験では、パーソナライズも行なわずに(情報やクーポンは同じものを配信した)、キャンペーンの成果を得ることができたと続ける。

 2つ目の「投資対効果」は、設置、実装、運用においてコストがほとんどかからなかったという。Beaconを使ったマーケティングの注意点としては、「情報やクーポンが関連性があること」とGuerrieri氏。関係ないものを送ると、単なるスパムと思われてしまうからだ。

 では、Beaconは普及するのだろうか? ShopkickのGasarch氏は「より正確な位置情報が新しい課題」とし、それを実現する技術のテストを続けるが、「Beaconはまだ普及段階にはないが、次の技術部品になるだろう」と予想した。用途としては、クーポンやコンテンツ配信以外にもさまざまな可能性があると展望する。

 たとえば、航空会社のVirgin Atlanticは英ヒースロー空港で、Beaconを利用してある場所になると搭乗券を表示する実験を行なった。このように小売以外の分野でも開拓が進んでいる。

 MoPartnerのGuerrieri氏は、「店の中にいる顧客向けのマーケティングという点で、大きなバリューをもたらす」と述べる。ユーザーの行動や位置の把握、クーポンや情報配信を通じてのエンゲージ強化やリターゲティングなどを具体的なメリットに挙げた。

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