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スマホを手にした顧客をつかむため小売業がBeaconに寄せる期待

2015年01月12日 15時00分更新

文● 末岡洋子

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 Bluetooth Low Energy(BLE)を用いた短距離無線通信のBeacon(ビーコン)が注目を集めているのは比較的知られているところだろう。

 2013年にはアップルがiOS 7で対応。端末側の対応が揃いつつあるところでBeaconを利用したマーケティング施策が実験的に開始されている。2014年11月、米サンフランシスコのモバイルイベント「Open Mobile Summit 2014」では、小売店やモバイルマーケティング事業者からBeaconへの期待を感じることができた。

Club Med Gymでのビーコン利用マーケティングのイメージ。左の青いデバイスが信号を送るビーコン端末だ

オンラインに繋がったままの顧客が店舗に来るため
スマホは小売にとって崩壊的な技術

 Beaconは対応端末、たとえばスマホなどと、店舗側が用意する小型端末との間でBLEを利用して通信する。通信範囲は数cmから数m程度で、その範囲に入るとBeaconに対応したスマホで情報やクーポンなどを受け取ることができる。アプリの起動などは不要だ。アップルはiOS 7でiBeaconとしてサポートした。AndroidでもBLE自体は、4.3以降で対応している。

 パネルのテーマは「小売店でのマーケティングとモバイル」で、その中でBeaconは大きなトピックとなった。実店舗とオンラインマーケティングとの融合を図るOtoO(Offline to Online)の草分け存在であるShopkick、American Express、アパレル大手のAMERICAN EAGLE、百貨店Sears、広告マーケティングプラットフォームRadiumOneが参加、ブログメディアReadWriteの編集長Owen Thomas氏がモデレーターを務めた。

左から2番目がShopkickのShira Gasarch氏、左から4番目がAmerican EagleのJoe Megibow氏

 「モバイルは小売業界にとって崩壊的な技術」と断言するのはAmerican Eagleの最高デジタル責任者、Joe Megibow氏だ。若者に人気を誇るカジュアル系のアパレルショップ(日本でもフランチャイズ展開している)のAmerican Eagleの場合、現在では“ほぼすべて”がスマートフォンを持っている。

 ウェブサイトのトラフィックをみても、モバイル率は50%を超えた。一方でデスクトップ(PC)からのトラフィックは減少方向にあり、「デスクトップのトラフィックが減少するなんで夢にも思わなかった」とトレンドの移り変わりの早さを実感してみせた。

 デスクトップとモバイルどちらからのアクセスであっても、リアル空間のショップに対しては、”オンライン”や”デジタル”という意味では共通だが、その特徴や利用形態は大きく異なる。

 デスクトップの場合、顧客が端末を抱えて店舗に来るということはまずなかった。そのため、オンラインとオフラインは分離されていたが、モバイルはオンラインを店舗に持ってきているのだ。「正しいタイミングで、顧客が魅力や興味を感じる適切な情報やオファーの提供ができないかを探っている」とMegibow氏。その土台として、同社は現在ビックデータの分析によるパーソナライズの強化に注力しているという。

Beaconの魅力は正確な位置情報
その場に最適なコンテンツが提供できる

 American Eagleは今年に入り、Shopkickと組んだビーコンを使った実験を開始した。一部の店舗で行なった実験で試着した人にShopkickのポイントが貯まるというもので、このオファーを受け取った顧客の試着率は2倍以上に増えたという。

 そのShopkickで商品戦略トップを務めるShira Gasarch氏は、オンラインのリターゲティング広告(ユーザーが過去に訪問したサイトの広告を再び表示する手法)のような仕掛けを実際の店舗でも展開できないか、という延長で「Beaconに可能性がある」と見る。

 「ジーンズに興味がある人がショップに入ると、ジーンスの割引を送るなど、消費者が発する”興味信号”を使って同じような価値を提供できないか」とGasarch氏は語る。Beaconの特徴は「正確な位置情報」という。たとえば、通りを挟んでピザとドラッグストアがある場合、GPSでは通りのどちら側にいるかまでは正確に把握できなかった。Beaconでは「その位置にきたときに、その位置に適したコンテンツを提供できる」(Gasarch氏)。さらには低消費電力であるためバッテリー持続時間を気にする必要もないという。


(次ページでは、「Beaconのメリットはコストが低いこと」)

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