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車の未来を担う5つのハイテク企業

2015年01月03日 11時00分更新

文● Bradley Berman via ReadWrite

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そこには意外な企業も。

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車の未来はよりよい燃料とパワートレインにかかっている、と私は思っていた。自動車産業が石油燃料による内燃機関から、電気使用(またはその他の低炭素燃料)へと移行できたなら、われわれはその後ずっと幸せにドライブできるようになるだろう、と私は考えた。

その後間もなく、実際に変化が始まった。完璧とは言いがたいが、2年前にアメリカ政府の燃費基準がより厳しくなり、自動車メーカーは2025年までに燃料の平均走行距離を54.5mpg(マイル/ガロン)に引き上げることとなった。これは電池式自動車への大規模な移行
―従来型のハイブリッドから純粋な電気自動車へ―を促す重要法案の一つだ。

しかし、パワートレインと燃料における変化は、より画期的な(目下の)輸送革命の前兆にすぎない。その革命は、車の動力というよりもIT、つまりネットワーク化された地図や、センサー駆動のコンピュータ技術を基にしたものとなるだろう。

自動車技術がパーソナル・コンピューティングやウェブベースのシステムとともにどう変わるかをより深く理解するために、この革命を担う5つの企業を見てみよう。この中で唯一の自動車メーカーは、テスラモーターズだ。同社と従来の自動車メーカーとの間にほとんど類似性が見られないのは驚くべきことではない。唯一とも言える類似性は、4輪の製品を生産していることである。

テスラ:バッテリーが全て

債権投資家のジェフリー・ガンドラックが7月に発表し、そして昨日CNBCでもその主張を繰り返している。テスラモーターズの価値、そして変革の潜在的可能性は、モデルSや次の電気自動車にあるのではない。「テスラはバッテリーが全てだ」と彼は言う。

テスラは、自動車産業やひいては建築物で使用されるバッテリーの主要なサプライヤーとなり、将来的に50億ドルの超巨大なバッテリー工場を設立するものとガンドラックは見ている。モデルSの成功によって、テスラは自動車産業で成功を収めたことを示した。

しかし、今話題にしているのは、この先100年の車の再発明についてだ。テスラが示すのは、多かれ少なかれ、車がバッテリーを動力とする輸送手段になるだろうということである(テスラは小売販売店での車の販売方法についても新たな可能性を示している。それは現在の自動車ディーラーよりもアップルストアに似ている)。

NVIDIA:車載スーパープロセッサ

一方、NVIDIAはカリフォルニア州のサンタクララに本拠を置く半導体メーカーで、自動車関連テクノロジーに投資を続けている。1年前、私はReadWriteへの投稿でも触れたが、すでに400万台以上の自動車にNVIDIAのチップ、Tegraがすでに組み込まれ、パイプラインにおいても2500万個が使用されている。

先週のロサンゼルス・オートショーで、NVIDIAは各種のNVIDIAプロセッサを使用したアウディTTを展示し、計測器やマルチメディア装置、ナビゲーションなどを発表した。これらのシステムはアップグレード可能なので、5~7年ごとに新しいモデルに買い換えなくても、多くの機能を改良できるようになる。

先週、アウディも「パイロテッド・ドライビング」テクノロジーについて発表した。自動運転システムに向けての重要な一歩が、製造の承認を得たのだ。NVIDIAのTegra K1 モバイルスーパーコンピュータによって運転能力を支援することが可能となったのである。

グーグルとHERE:地図のエキスパート

テスラとNVIDIAは、自動車をハイテクプロセッサで制御するバッテリー動力を用いる移動手段へと変容させるだろう。だが結局のところ、自動車は車輪を持つことには変わりない。

グーグルの話にいこう。スレート誌とIEEEスペクトラムは近日、自動運転車のカギとなるのは道路のマッピングだと指摘した。グーグルの、小さくてファンキーな自動運転車のプロトタイプが自動運転車のシンボルとみなされている。しかし私は、詳細な地図を作るために道路のキャプチャ画像やLIDARに基づくデータ収集を行っている、グーグルマップの車に注目している。

たとえグーグルが今後5年である種の自動運転車を製品化するのに成功したとしても、安全性、満足度、パフォーマンス面で競争できるとは思わない。伝統的な自動車メーカーは、車体製造業者としては生き残るだろう。しかし自動車を売るためには、これまで以上にソフトウェアに注意を向けなくてはならなくなるだろう。

グーグルだけでなく、HERE(ノキアグループ)をこのリストに挙げたのはこういった理由だ。グーグルが地図や位置情報データ分野において、すでにその地位を確立していることはご存知だろう。しかしHEREにはあまり馴染みがない人もいるかもしれない。同社の説明によると、「地球上、55カ国6,000人以上の人々による、最も大きく高度に訓練された地図作成チーム」とのことだ。

工業用カーナビゲーションシステムの5つのうち4つはHEREの地図を利用している。HEREのクライアントにはトヨタとガーミンも含まれている。先週、HEREは「プレディクティブ・トラフィック」という製品を発表した。予測分析とクラウドコンピューティングに基づいた、12時間先までの交通を予測するものである。HEREはこの製品のために、月に700億以上(過去10年で1.3兆にものぼる)もの「プローブ・ポイント」と呼ばれるものを収集している。

UBER:自動車からモビリティへ

ジャーナリストを攻撃したり個人情報を使用したりするUBERのやり方には、読者も当然反対だろう。しかし、この企業の影響力と自動車アプリは驚くべきものだ。UBERは、オンデマンド自動車サービス(タクシーやレンタカーといった、車を所有せず利用する方法の総称)の頂点に立っている。

モバイルコンピューティング、マッピング、仲介業者の排除によって、これが可能になった。しかし、UBERが支持を得ているのは、共有型経済や都市の過密状態といった経済的要因によるものだ。この話題を取り上げたのは、運転手と車との間に長きにわたって存在していた、きわめて神聖な関係に変化が起こるのではないかと考えているからだ。

現在、車でAからBまで行くという行為は、車を買って、給油して、維持して、ローンを払い、保険に入り、駐車する、という複雑で手間のかかるプロセスである。これが合理的で機能的になるとしたら、それはどんなものになるのか、われわれは初めて垣間見ることができたのだ。

読者は、テスラ、NVIDIA、グーグル、HERE、UBERという5つの企業を私が選択したことに賛同しないかもしれない。私の見落とした有力株についての情報があればお知らせいただきたい。

影響力の大きな企業は時代とともに変わり、ニッチなスタートアップ企業が役割を担うことになるだろう。このシリーズでは、以下のものを取り上げていこうと思う。インターネット、電気、センサー制御でデータ化された地図利用の移動ネットワークを活用する、ハードウェア、ソフトウェアとそれに関連するビジネスモデルである。

トップ画像提供:RyC – Behind The Lens

Bradley Berman
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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