確定申告、奥さんの給与を月8万円にすると得する理由

2015年01月13日 11時00分更新

画●あべかよこ

宮原　そう、たとえば、自営業で手伝ってくれる奥さんへの給与だとか、同居している両親に家賃を払うだとか、そういったことは、すべて生計一親族に対する事なので、払う方は経費にならないし、もらうほうも所得にはならないんです。

あべ　えぇ〜っ、そうなんですか！　ん?　じゃあ、どうやって書けばいいんでしょう?

宮原　そう、なので、「専従者」っていう言葉があるんです。

あべ　せんじゅうしゃ……

配偶者なら「専従者控除」で最大86万円

宮原　白色申告の人の場合は「専従者控除」というものがあります。給与ではないのですが、手伝ってくれる人について、事業主の所得から一定額の控除ができるものです。

あべ　しらなかった〜！　これまで○年確定申告やってるけど、その制度は初耳っ！

宮原　白色の収支計算書の様式の一番下の所に専従者控除っていう欄があるんですよ……。

あべ　私のもらった用紙にはなかったです。

宮原　んなわけないです！(即答)

宮原　一方、青色の場合は「青色事業専従者給与」というものがあります。これは、あらかじめ税務署に「この親族にこれだけの給与を支払います」という届け出をする事によって、支払った給与を経費にすることができるというものです。

あべ　でも、「毎月これだけ支払います」って言えない場合はどうすればいいんですか?　

宮原　どういう基準で支払うかというのも届け出るんです。たとえば、固定給で、とか、時給いくら、とか。

あべ　じゃあ、お仕事が入った時だけ手伝ってもらうっていう場合は?

宮原　 専従者と言うのは、その人の商売をずっと手伝っているということが前提です。だから、不定期に、そして一時的に手伝ってもらうということは、専従していない状態ということになり専従者として認められません。

あべ　あ、じゃあ、私と一緒のおしごと以外の仕事をしていたら?

宮原　それは当然ダメです。専従者っていうのは、「ガッツリ手伝ってくれているので特別に認めましょう」ということで作られた制度なので、兼業はできないんです。

あべ　じゃあ、うちはだめですね。あ、でも、そうであれば、やってもらったぶんの仕事の報酬はどうなりますか?

宮原　それはご主人にとって報酬にはならず、生活費の贈与を受けた形になります。言ってみれば家の財布の右ポケットから左ポケットに移したようなものですね。

あべ　生活費！　ダンナさんに報酬を払うのではなく、家に生活費をおさめているというイメージなんですね。なんだかすごく損した気分ですよ！　(あげなくてもいいじゃん?)

宮原　意外と、税法ってちゃんと見ると、一般的な理解からはちょっと外れるようなところが本筋になってたりするんですよ！

たとえば、八百屋のご夫婦はどうだろう

あべ　たとえば、ご主人が八百屋さんを営んでいて、奥さんが毎日手伝っているっていう形だったら……。

宮原　そう、それがまさに専従者です。

あべ　その場合は、給与として認められるんですね。

宮原　奥さんに給料を払っているご主人というのは、まず、ご主人が年内に奥さんの分の年末調整をします。これで、奥さんの所得税の計算は完了。そして、ご主人自身の分は、年明けに確定申告をするということになります。もちろん、ご主人はお住まいの市区町村に奥さんの「給与支払報告書」を提出して、奥さんの住民税が役所から送ってくる、ということになります。

あべ　ほえ〜、ご主人、たいへん〜！

（次ページ、「奥さんに給与・月額8万円のわけ」に続く）

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