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米国におけるApple Payの現状 - iPhoneによるモバイル決済は花開くのか

2014年12月25日 11時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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米国でApple Payはどの程度受け入れられているのか?

 では実際、Apple Payは米国でどの程度受け入れられているのだろうか。ForbesMarket Watchの記事でも紹介されているが、ITG Market Researchが同サービスのローンチから6週間(1ヵ月半)でどの程度の市場シェアを開拓したのかの調査報告を出している。

 それによれば、Apple Payを利用するユーザーが利用したチェーン店舗トップ3はWhole Foods Market、Walgreens、McDonald’sで、モバイルペイメント市場全体におけるシェアでは1.7%ほどを占めるという。なお、ローンチから3年が経過したGoogle Walletのシェアは同時点で4%だったとしている。

McDonald’sはApple Payに限らずNFCを使ったモバイル決済に全米規模で対応するレストランチェーンとなっている。実際、手軽に注文して支払える

 現在のApple Payの拡大ペースからすると、ホリデーシーズン商戦の終わった来年2015年初めにはさらにシェアが増加していると思われるが、個人的にはまずまずの水準だと考える。また、来年秋には2年縛りの終わったiPhone 5sからの乗り換えユーザーがApple Payを利用可能になるとみられるため、1年後の数字が非常に楽しみだともいえる。

 筆者は今回1週間ほどかけてサンフランシスコ〜サンノゼのSFベイエリア周辺の小売店舗数十軒をまわり、Apple Payに対する反応や利用可能状況をみてみた。先ほどのように店舗側が積極的にApple Payの存在をアピールしているにも関わらず、iPhoneを読み取り機にかざすと怪訝な顔をする店員がまだ多かったことが気になった。

 もちろん、これは場所にもよるかもしれない。例えば、サンフランシスコ市内のWalgreenでは複数の店舗で「隣のレジで会計している人もApple Pay」という状況に遭遇し、店員がApple Payをネタに客と談笑していることもある。またサンフランシスコ対岸のオークランドにあるRite Aidでは、端末にiPhoneをかざして決済しようとしたら「申し訳ないですが、Apple Payには対応していません」と説明してきたこともあった(後述するがRite AidはApple Payに非対応)。

Walgreensも全店規模でApple Payに対応するドラッグストアチェーン。写真はサンノゼ中心部にある店舗だが、滞在4日間で毎日通ったものの、ここでは他の客のApple Pay利用を見かけなかった

オークランドにあるRite Aid店舗。Apple Pay非対応チェーンであり、決済時にiPhoneをかざすと、こちらの画面では成功と出てくるものの、決済ターミナル側の画面では「別のカードを通してください」という表示が出て決済が失敗していることがわかる

 比較的iPhoneを持っているような富裕層人口が多く、テクノロジーに理解があるサンフランシスコでもこの程度だ。日本の都市部におけるおサイフケータイ普及の域に達するにはまだまだ時間がかかるのかもしれない。

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