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「SIMロック」に関するガイドライン改正、来年5月から解除義務化

2014年12月22日 19時15分更新

文● ASCII.jp編集部

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 総務省は10月に公表していた「SIMロック解除に関するガイドライン」の改正案について、その後に募集されたパブリックコメントを踏まえて、新ガイドラインを発表した。2015年5月以降に発売される全端末において、SIMロック解除が求められる内容となっている。

2015年5月以降に販売する全機種で義務化

 「SIMロック解除に関するガイドライン」は当初2010年6月に出されたもので、今回はその内容を改正した新バージョンとなる。旧ガイドラインでは3Gの通信方式の違いに加え、「利用者の立場に立った取組に努めるものとする」といった表現だったこともあり、ドコモがユーザーの申し込みによって(ただしiPhoneは非対応)、SIMロック解除が可能になったほかは、結局広くは対応が進まなかった。

 今回の改正案では「基本的な考え」において、SIMロックについて、ユーザーが事業者を変更したり、外国渡航時に現地SIMを利用する行為を妨げて利便を損なうものとするほか、新規顧客獲得時の多額のキャッシュバックの一因になり、長期利用者との不公平も助長していると、その問題点を指摘している。

 これに対してキャリア側は、ユーザーの混乱のほか、端末価格の上昇、キャリア独自のブランド戦略推進へのインセンティブ喪失などの可能性について触れているが、新ガイドラインでは適切な情報提供で解決可能としたうえで、SIMロックという手段による囲い込みではなく、端末の魅力を引き出すサービスの提供で行なわれるべきだとする。

 具体的なSIMロック解除については、「SIMロック解除を行わないことが公正な競争又は利用者の利便の確保に大きな支障とはならないと考えられる」端末以外については、「事業者は、原則として自らが販売した全ての端末についてSIMロック解除に応じるものとする」とSIMロック解除を実質的に義務付けている。

SIMロックは事業者による
端末の機能制限とみなす総務省

 なお、SIMロック解除の手続きは「無料」であることが求められている。一方、割賦代金の不払いなど、不適切な行為の防止のために最低限必要な期間に必要最小限の処置をとることは妨げないとしている。

 手続き無料に対しては、キャリアからは「(SIMロック解除はすべてのユーザーが利用するものではないため)希望するユーザーが手数料を負担するのが合理的」という意見が出ているが、総務省は「SIMロックは専ら事業者側の事情によって利用者の端末の機能を制限するもの」という定義に基づいて、これを否定する。

 また、現状SIMロック解除をしても、MVNOのSIMではテザリングが利用できないなどの課題が存在し、実際にパブリックコメントにも同様の意見が寄せられているが、それに対し総務省は「その他」章(「SIMロック以外の機能制限についても、SIMロックが解除された場合は併せて解除できるよう努めることが適当である」)で想定される事態だとするとともに、「事業者による取組を注視する」と表現している。

 このガイドラインは2015年5月1日以降に発売される端末について適用されることになっている。来年の夏モデル以降、端末そのものや販売モデルがどう変化していくか、注目が集まりそうだ。


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