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Facebook、KDDIなどハイパースケール事業者と培った経験/ノウハウを広く展開

「クラウドに最適なHWを提供」日本法人設立のクアンタ幹部に聞く

2014年12月22日 14時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 Quanta Cloud Technology(QCT)は、台湾の大手ODM/OEMコンピューターベンダーであるQuanta Computer(QC)のグループ子会社だ。現在は“Quanta(クアンタ)”という自社ブランドの下、クラウドデータセンター向けに特化したハードウェアを市場に提供している。豊富なODM/OEM経験で得た設計製造ノウハウを武器に、高性能かつ低コストな製品を供給しており、顧客には世界の大手クラウドプロバイダーが名を連ねる。

Quanta Cloud Technology(QCT)のWebサイト

 12月8日、QCTでは新たに日本法人「クアンタ・クラウド・テクノロジー・ジャパン(QCTジャパン)」を設立した。QCのシニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーであり、QCTジャパンの代表取締役 会長に就任したマイク・ヤン(Mike Yang)氏に、日本法人立ち上げの目的や市場戦略を聞いた。

同日の日本法人設立記念パーティで挨拶するQCTジャパン 会長のマイク・ヤン(Mike Yang)氏

Facebook、KDDIなど大手クラウドプロバイダーが顧客

――まずは、Quanta Cloud Technology(QCT)の概要を教えてください。

ヤン氏:QCTは2011年に設立された、データセンター向け製品(サーバー、ストレージ、スイッチ、統合ラックシステム)を製造、販売するメーカーだ。Quanta Computerのクラウドコンピューティング事業部門時代から数えて、サーバー市場では14年の経験を持っている。

 ワールドワイドでは、大手クラウド事業者の約半数はQCTの顧客だ。ハイパースケールのデータセンター向けにピュアなハードウェアを製造し、プロフェッショナルサービスと合わせて提供してきた。

Quantaでは、大手クラウドプロバイダーを顧客として、データセンター製品の設計製造からデプロイ、パフォーマンスチューニング、フィールドサポートなどのサービスまで手がける

――大手クラウド事業者というと、具体的にはどのようなクラウドプロバイダーが顧客なのですか。名前を挙げてください。

ヤン氏:それは各社の企業機密に関わることで、基本的には公表していない。ただ、Quantaの製品を導入して非常に満足いただいた結果、逆に顧客の側から公表していただいているケースがある。

 その1社はFacebook、これは非常に大きな顧客だ。そして、日本の大きな顧客としてはKDDIがいる。

 また(別の意味では)Microsoftもいる。Microsoftでは、Open Compute Project(OCP)を通じて「Open CloudServer(OCS)」という高密度サーバー仕様を公開しているが、当社はOCSサーバーの大手サプライヤーの1社だ。

 Facebookの起業者であるマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏は、今年初めのOCPイベントにおいて、QuantaなどのOCP準拠製品を用いてインフラを構築した結果、「過去3年間で12億ドルのインフラコストが削減できた」と述べている。

 先ほどKDDIの名を挙げたが、日本市場でもこの2、3年、弊社のようなメーカーの製品を導入するのがブームになっており、少なくとも5社以上の大手プロバイダーやキャリアが顧客である。

QuantaではOCPに参画し、同仕様に準拠した高密度なサーバーやストレージ、ラックシステムも発売している

――となると、Quanta製品の強みはやはり「価格競争力」ということでしょうか。

ヤン氏:もちろん価格もあるが、それだけではない。Quantaには3つの強みがあると考えている。

 まず1つは、すべてのデータセンターハードウェアを設計製造しているので、共通性に優れていること。(ヘテロジニアスな環境と比較して)一緒に使った場合のトラブルが少ない。

 2つめは、大量の製品を製造しており、Intelなどのキーパートナーとのつながりが深いこと。これは部品調達コストの面だけでなく、技術面での強い支援も受けられるということだ。

 最後に、これまで長きにわたって多くの大手クラウドプロバイダーと協業し、さまざまな課題を解決してきた実績があること。そのノウハウを製品に生かすことで、ほかの顧客もそこからメリットを得られる。大手プロバイダーが持つノウハウを、中堅中小規模の顧客でも享受できるわけだ。こうした経験やノウハウは、お金で買えるものではない。

 Quantaは、これら3つの強みを生かして、顧客にとって最適なデータセンター製品を提供できるものと自負している。

(→次ページ、クアンタQCTが日本市場で狙うものとは?

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