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業界人の《ことば》から 第122回

ソニー、テレビの差別化のカギは、Android搭載でいいのか?

2014年12月17日 09時00分更新

文● 大河原克行

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今回のことば

「2015年にソニーが投入するテレビの大半にAndroidを搭載する」(ソニービジュアルプロダクツの今村昌志社長)

成長戦略ではなく、高い利益率を追求

 ソニーのホームエンタテインメント&サウンド分野において、テレビ事業を担当するソニービジュアルプロダクツの今村昌志社長は、テレビ事業の黒字化に向けた基本方針を、「『商品差異化』と『選択と集中』による安定的収益基盤の確立」とした。

 ソニーは、2014年11月18日および25日の2日間、東京・品川の同社本社において、証券アナリストおよび報道関係者を対象にしたSONY IR Day 2014を開催した。全体的にみると、2017年度までに中期経営目標においては、デバイス事業が成長の牽引役を担う一方、いずれの事業においても売上高が2~3割減少しても、収益を生むことができる体質への転換を掲げ、成長戦略よりも、体質強化が前面に出ていたといえる。

 こうしたなか、テレビ事業においては、回復に向けた道筋を歩んでいることが示された点は特筆できよう。

テレビの回復がカギとなる

 ソニーにとって、テレビ事業の回復は、最重点課題だ。

 というのも、ソニーのテレビ事業は、過去10年間に渡って、赤字を続けており、黒字化は、もはやまったなしの状況にある。その最後の切り札として打ち出したのが、今年7月からスタートしたテレビ事業の分社化だった。

 ソニーは、2011年度に、テレビ事業において1475億円の赤字を計上。そこからの再生プランとして、2013年度のテレビ事業黒字化を目指し、事業拡大路線を見直すとともに、販売計画を大幅に引き下げる計画を打ち出した。

 「当時は、IT型の機能別組織を採用していた。これは均一的な製品を大量に生み出すことに最適化したものであったが、出荷数量が減少するなかで、無駄と非効率性が表面化してきた。そこで、オペレーションの歪みの是正に取り組み、商品別の責任権限を明確化。設計、製造、販売までの一気通貫型の組織として、ロスと固定費の削減を行った。

 また、S-LCDの合弁を解消し、市場環境に則してパネルを自由に購入できるようにした。さらに、マレーシアと上海の自社工場への生産統合に加えて、ODMでの生産を拡大することで、アセットライトと変動対応力を強化した。また製品を高精細、大画面を中心とする付加価値戦略にも絞り込んだ。だが、それにも関わらず、2013年度の黒字化は達成できなかった」と、ソニービジュアルプロダクツの今村昌志社長は当時を振り返る。

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