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「テレビつけよう」思うだけでスイッチオン 小型ブレインマシンインターフェース技術、NTT・ATR・積水ハウス・島津製作所・慶応大ら開発

2014年12月12日 16時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/大江戸スタートアップ

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 ニュースでも見ようかなと思ったそのとき、すでに行動は終わっている。

 NTTなどによる研究チームは4日、脳活動から行動を支援する、小型のネットワーク型ブレイン・マシン・インターフェース技術を開発したと発表した。従来の同技術は強く念じる必要があったが、ごく普通に「思う」だけで、テレビやエアコンなどの家電をコントロールしたり、「不快だ」といった気持ちを介助者に伝えられる。

 国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、積水ハウス、島津製作所、慶応義塾大学との共同研究で、総務省による研究委託を受けたもの。被験者が頭にかぶったヘルメット状の「脳活動計測装置」が、「体を動かしたい」「感情を伝えたい」という2つの意志を、それぞれ脳活動の計測技術によって実現する。

 1つ目の技術は「近赤外分光脳計測」(NIRS)。家電を操作するなど、日常生活で体を動かすときに生じる脳の活動状態を測定、データをクラウドに送信し、データベースから「何がしたいか」を照合し、クラウド上から家電をコントロールする仕組み。装置は島津製作所が開発した。

 もう1つの技術は「脳波計測」(EGG)。脳波によって不快に感じる際などの状態を計測、おなじくデータをクラウドに送信して、介助者に「気持ち」を伝えられるようになっている。装置は慶応義塾大学が開発した。

 これらに加えて、車椅子で安全に部屋を移動するための制御技術、装置利用者のプライバシーを保護するセキュリティー機構など、ブレイン・マシン・インターフェースを実現する「部屋」設備を構築した。設備はATRと積水ハウスが設計し、ネットワーク環境はNTTが構築している。

 研究チームによれば、高齢者や要介護者だけではなく、一般人が「脳活動」によって家電をコントロールしたり、気持ちを伝えられるような生活支援サービスのための基盤技術を確立できたとのこと。「魔法と見分けがつかない」科学技術を使えるようになる日もそう遠い話ではなさそうだ。


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