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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 ― 第116回

Nokiaの魂がモジュラー式スマホで復活する!?

2014年12月10日 17時00分更新

文● 末岡洋子

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 部品を交換できるモジュラー式スマートフォン分野がにぎやかだ。50ドルレベルでの実現を目指すGoogleの「Project Ara」に続き、11月に2つのプロジェクトがフィンランドで発表された。いずれも2015年に製品化を目指しており、予定通りであれば、来年は複数の企業から新しいスマートフォンの形が登場することになる。

元「Nokia X」担当者らが立ち上げたVsenn

 1つ目はVsenn。11月はじめに発表されたプロジェクトだ。本社は首都ヘルシンキから500キロほど北に離れた学術都市のオウルにあり、モジュラー型のハードウェアを持つAndroidスマートフォンの開発を進める。モジュールはカメラ、バッテリー、プロセッサとRAMの3つ。Project Araと同様、ユーザーは自分の好きなものをチョイスしたり、変更できるという。このほか、背面のカバーの着せ替えも可能になるようだ。

まだ公式サイトやFacebook上でもヒントレベルの内容しかないが、今後に注目のVsenn

 ソフトウェア側の特徴は、カスタマイズがない純粋なAndroidの利用とセキュリティー/プライバシーだろう。3層暗号化により、スマートフォン上のすべてのデータを安全にするほか、VPNと安全性の高いクラウドへのアクセスも提供する。OSは4年間サポートを提供する。

 それ以外は、価格を含めVsennからは明らかになっていない。Vsennの公式ツイートによると、Project AraがRockchip社製であるのに対し、VsennはQualcommのものを利用するようだ。外部メモリーのサポートもあるという。画面サイズは4.7型でフルHDのほか、5型台のものも登場する可能性があるようだ。

 公式サイトでは、「モジュラー型とアップグレード可能なハードウェアを利用することで、誰もが自分にとって”パーフェクト”なスマートフォンをつくることができるパワーを提供するのがミッション」とうたっている。

 「Nokia X」のプログラムマネージャーを務めていた人物が共同創業としているが、それが誰なのかは明記していない。Nokia Xは、Microsoftにデバイスとサービス事業を売却する前にNokiaが取り組んだAndroidフォークプロジェクト。その後のMicrosoftによる買収とともに姿を消してしまった。

フィンランドに渡ったスペイン人が立ち上げた
「Puzzle Phone」

 2つ目は11月末に発表された「Puzzle Phone」だ。やはりベンチャー企業で、社名はCircular Devices。本社はNokiaと同じエスポー(首都ヘルシンキ近郊)だ。

こちらはカラフルでポップなイメージだ

 Circular Devicesは、VsennやProject Araよりも明確な問題意識を持って創業されている。創業までの話が興味深いのでかいつまんで紹介したい。

 創業こそ2014年1月だが、創業者のAlejandro Santacreu氏は2012年にモジュラー型スマートフォンに思い至ったという。きっかけは、Santacreu氏が当時所有していた「iPhone 4」だ。ホームボタンが機能しなくなったが、安価で修理ができなかった。そこで簡単に部品交換ができて修理が簡単なスマートフォンを構築してはどうか、と思いついたのだそうだ。

LCDは本来10年使えるとサイト上に書かれているように、もったいない精神が発想のベースにあるようだ

 当時、Santacreu氏は祖国のスペインで、スマートフォンやタブレットを製造するEnergy Sistemに勤務していた。だがその後、Santacreu氏はフィンランドに移住を決意し、生活は急変。このアイディアもすっかり忘れてしまった。

 それからしばしの時間が経過する。Santacreu氏はパートナーとともに無事にフィンランドに渡った。移民としてフィンランド語の授業を受けるなどしていたときに、フィンランドの起業支援団体Laureaes Entrepreneurship Societyのアイディアコンテストのポスターが目に留まる。そしてお蔵入りになったアイディアを再起して応募した、というのが経緯という。GoogleからProject ARAが発表されたのは2013年10月、その後のことだ。

 現在のスマートフォンは一部が壊れると買い替えというケースがほとんどだ。前職でモバイル製品のサプライチェーンを熟知し、部品物質や天然資源の無駄使いに対して問題意識を持っていたSantacreu氏は、持続可能な社会という点でもモジュラー型スマートフォンは寄与できると売り込んでいる。

 さてPuzzle Phoneだが、ディスプレー(画面サイズは複数用意する予定という)。スピーカーを持つ本体の「Spine」(”脊椎”を意味する英語)、バッテリー/アンテナ/外部モデムとチップセットの「Heart」(”心臓”)、SoC/メモリー/カメラの「Brain」(”脳”)から構成されている(ちなみにProject AraはVsennやPuzzle Phoneよりも、ずっと細かなモジュール単位になっている)。

Project Araはずっと細かくデバイスを分割・定義している

 OSは、まずはAndroidのフォークを提供、このほか「Firefox OS」やフィンランドのJollaが開発する「Sailfish OS」などのサポートも予定しているようだ。

 Puzzle Phoneは現在試作品を作成中で、製品は2015年に登場予定という。Puzzle Phone Compatibleという認定制度も設ける。価格はミッドレンジを狙う。


(次ページでは、「Nokiaの低迷でベンチャーが盛んになったフィンランド」)

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