このページの本文へ

全社一丸で第3のプラットフォーム移行にチャレンジ

変化の時代を漕ぎきれるか?EMCジャパン大塚新社長が会見

2014年12月11日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

12月10日、EMCジャパンは新社長就任の記者会見を開催した。ITベンダーの分割や合併が相次ぐ中、新社長となった大塚俊彦氏は「変化への対応力」を強調。オラクルとサンの統合をリードしてきた経験を活かし、次の10年に対応する組織・ビジネス作りに挑む。

次の10年を見据えた市場変化に対応するために

 ストレージベンダー最大手のEMCの日本法人であるEMCジャパンは、12月8日に社長交代を行なった。記者会見の冒頭、米EMC シニアバイスプレジデント、アジア太平洋/日本地域 プレジデントのデビット・ウェブスター氏は、市場変化への対応と社長交代の背景について説明した。

米EMC シニアバイスプレジデント、アジア太平洋/日本地域 プレジデントのデビット・ウェブスター氏

 ウェブスター氏は、ジャック・ウェルチ氏のコメントを引き合いに出し、急速に変化する市場に迅速に対応しなければ企業は生き残れないという危機感を示した。さらに、デルの非上場化、HPやシマンテックの分割、IBMのサーバー・チップ工場の売却、オラクルのクラウドへのフォーカス、イーベイとペイパルの分割など、最近のIT企業の動向を振り返りながら、「第2のプラットフォームの時代に生まれた企業は変化への対応が遅い。自身を変革する意思決定までに何年もかかっている。こうした企業の一部は成功するが、一部は失敗するだろう」と指摘する。

昨今のIT企業の動向。多くの企業は構造変化を迅速に行なえていない

 こうした市場の変化に対してEMCは今年、CloudscalingやMagniatics、Spannningなどクラウド関連技術を持つ企業を買収すると共に、統合型インフラ製品を手がけるVCEを傘下に統合。クラウドビジネスや技術開発、新規ビジネスなど社内組織を刷新し、営業組織にも大きく変革した。「お客様は製品やテクノロジーを買いたいのではなく、ビジネスインパクトの結果、つまりソリューションを求めている」(ウェブスター氏)。

 こうした本社の組織改革にともない、各地域や各国のビジネスを見直した結果、今回の社長交代に至った。ウェブスター氏は、半年前から前社長の山野修氏とこうした市場の変遷に対応できる体制についてディスカッションを進めてきたという。「次の10年を見ていった場合、EMCは日本のビジネスを変化させなければならない。そのためには、今までと異なったスキルやリーダーシップが必要という結論に至った」と語る。そこで、ハードウェア、ソフトウェア、サービスの経験を持ち、変化を重視してきた企業での経験を持つ人として白羽の矢が立ったのが、新社長の大塚氏だったという。

オラクルとサンの統合も経験した大塚氏

 新社長の大塚氏は、日本IBMからキャリアをスタートし、シスコ、日本オラクルなどのエグゼクティブを歴任。営業として製造業、公共事業などの顧客を担当してきたほか、オラクル時代にはサン・マイクロシステムズとの統合も経験している。

EMCジャパン 代表取締役社長、米EMCコーポレーション 副社長 大塚俊彦氏

 ウェブスター氏の紹介を受けて登壇した大塚氏は、「オラクルにいた時に、サンの買収・統合をやってきたが、異なる企業を統合していく苦労を味わったほか、企業文化を融合する重要性を肌で感じてきた」と語る。また、「IT企業にとっては、変化し続けることが一番大事。そこなしにお客様に差別化された価値を提供できないと思っている」と述べ、変化への対応力という点で、新しいEMCのビジョンにも共感しているという。

 大塚氏は自身の“EMC観”も披露した。1つ目は研究開発に対する投資の大きさ。「まぎれもなく変化し続ける企業。グローバルでNo.1になっている分野がいくつもある。この原動力は、イノベーションに対する大きな投資を進めていることだと思う」と語る。また、EMCの持つ「顧客重視の姿勢」「社員の能力を引き出す組織文化」などに対しても、あわせてリスペクトを持っているという。

 「Lead the 3rd Platform」を掲げる大塚氏は、同社が進めている第3のプラットフォームへの移行を推進。「第3のプラットフォームはやり方によっては大きなチャンスを秘めている。次のステップアップをドライブしていきたい」と抱負を語った。また、「顧客とのリレーショシップ強化」「パートナー協業」「Best Place to Work」「グローバリゼーション」「EMCブランド」という5つのテーマでEMCジャパンの組織改革を進めていくと説明した。

■関連サイト

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ