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Web制作会社の言うSEOは、顧客が望むSEOではないかもしれない

文●渡辺隆広/SEMリサーチ

2014年12月08日 06時00分更新

記事提供:SEMリサーチ

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SEOはユーザー(人間)とアルゴリズム(コンピュータ)双方にとって情報を探しやすく、内容を理解・解釈し易くする、検索エンジンフレンドリーなサイト構築技術でもあります。従って、Webサイトをゼロから構築する段階からSEOの概念を取り入れる、高い検索性を実現するための技術要件を盛り込みつつ開発していくことが理想です。構築段階であれば UX やデザインの観点と SEO の観点を上手く調節・融合することで、ユーザビリティとファインダビリティ(検索での見つけやすさ)を両立しやすいからです。

その意味で、「Web制作もSEOも両方できます」というWeb制作会社にまとめて発注できれば費用面においても、交渉の手間においても望ましい形といえます。無論、Web制作会社としての能力も、適切なSEOを実装できる能力も有しているのであればという前提が成り立てばの話であり、問題はそうした Web制作会社を判断することが容易ではない点にあるでしょう。

cf. SEO はWebサイトの発見性(ファインダビリティ)を高めるもの


Web制作会社の言う「SEO」は、期待したSEOではないかもしれない

最近はWeb開発者やデザイナーの方にもSEOの概念を十分に学び、検索エンジンに易しく、デザインもユーザビリティもバランス良く制作を支援してくれる人も増えてきました。一方で、Web制作会社がSEOもやってくれるというからお願いしていたけれど、全然検索にヒットしないのですが〜という相談も昔から良くあります。こうした場合、私はまず相談者のWebサイトを拝見するのですが、いったい何を持ってこのサイトは SEO が考慮されていると主張できるのかよくわからないものが少なくありません。

例えば、タイトルとmeta description / meta keywords をきちんと記述してあるだけで SEO を完璧に実装しましたというケース、低品質な外部リンクをサイト公開と同時に大量に貼り付けて検索上位をすぐ実現できるサイトが完成しましたと主張するケース。”サイト設計段階でSEOを取り入れることの本質的な意味”がわかっておらず、サイトに大幅な修正を加えられないケースでよく活用するSEOの実装テクニックばかりを駆使しているケース※、カテゴリ名称には検索数が高い検索キーワードを入れればよいと考えたものの無駄にキーワードが盛り込まれ過ぎて過剰なテキスト詰め込みになってしまったケース、動的URLは全く気にしなくてよくなった時代だと勘違いをしてリンク参照性や運用性に極めて問題のあるURL構造を採用したケース、SEOの外部リンクを考えてか意味もなくサブドメインで細かく分割するなど、残念な開発例は枚挙にいとまがありません。

※ 例えばページ左上部に記述するグレーのテキストや、コンテンツ中央付近に無理矢理入れたようなテキストというのは、手間のかかる改修をせずにSEO要件を実現するためにひねり出されたアイデア。サイト設計段階からSEO要件を入れておけば、デザインに溶け込む形で実装できる選択肢はいくらでもあるのだから、こうしたテキスト盛り込み手法は不要となる

最悪なのは、そのWeb制作会社が担当したWebサイト間で密かにスパム的な手法で相互リンクが結ばされるケースです。クライアント同士を互いにリンクさせれば理論上は外部リンクの増加分だけ検索エンジンからの評価が加算されることになりますが、一般的にクライアントがそれ(発注先業者の抱えるクライアント同士と互いにリンクをする)を了承するはずがなく、またWeb制作会社もこうした手法は良いことではないと理解しているからこそ、隠しリンク(例えば1ピクセルx1ピクセルの画像で互いにリンクさせられている)を無断で埋め込まれることになります。15年前程度(2000年前半、当時のGoogle PageRank 攻略法ノウハウが広まり始めている時期)に日欧で流行っていましたが、現在も時折見かけることがあります。

cf. 顧客が望むSEOの成果と、本質SEOで得られる成果のギャップ


制作会社にまとめてお願いする場合は「SEO」の中身の確認を

サイトの機能・デザイン的にも、SEO技術的にも高いレベルで実現してくれる良いWeb制作会社さんに巡り会えれば良いのですが、発注段階でそれを見分けることも難しいでしょう。先に述べた問題を解決するためには、発注する時に「Web制作会社が提供しようとしているSEOの中身」をきちんと確認し、その内容は自分が求めている事柄なのかを確認することです。

SEO会社にSEOを発注する時にも言えることですが、「SEOサービス」の内容は三者三様です。外部リンクを貼り付けるだけがSEOという会社もあれば、適当にアルバイトが書いたコンテンツを大量納品するだけで「コンテンツSEO」と時代にあわせたセールストークを繰り広げる会社もあります。Web制作会社の場合は、必ずしもSEO技術に精通している開発者がいるわけではない、あるいはSEOのことが「わかっているつもり」で時代遅れの知識を持ってWeb制作に取り組んでしまうこともあるのです。だから、事前に提供される内容を確認することが重要になってきます。

「ユーザーにとって良質なサイトを作れば自然とSEOができますから、うちは SEO という概念そのものを特段考えていません」「ユーザのソリューションになるサイトを創れば、それは検索の上位に表示される」などと回答する、SEOの本質を履き違えたWeb制作会社には依頼しないことです。本来 SEO は、優れたコンテンツをどのように必要とするユーザーに届けるのかを考えるマーケティング施策なのであり、コンピューター(アルゴリズム)におけるクローラビリティやアクセシビリティを考慮する、検索エンジンに易しいサイト創りもまた重要な事項だからです。

cf. 「SEO終了のお知らせ」という人はSEOの本質を理解していない

「ユーザーに良いサイトを作れば自然に上位に表示される」のは Google も目指している方向性であるものの、それが実現できるのはまだ遠い未来の話です。確かに Google は15年あまりの月日を経て検索技術の革新をもたらしましたが、私たち人間の認識・判断能力と同等レベルのアルゴリズムは持っていません。


SEO施策の内容と範囲についての認識すりあわせを

(ビジネスにおいて一般的に重要なことですが)Web制作とSEOを同時に1つの会社にお願いするのであれば、SEOの施策範囲・内容を具体的に確認して、両者で認識のすりあわせをしておくことが大切です。内部施策に限定されるのであれば、それはタイトル/METAディスクリプション/METAキーワードまでを記述することなのか、それともIA(インフォメーション・アーキテクチャ)レベルから、情報分類やナビゲーション設計、コンテンツ開発に至るまでSEO要件を考慮したWebデザインが行われるのか。そもそもSEO実装を通じて目指すゴールをどこに置いているのか、Web制作完了後の効果測定(SEO成果)のレポートの有無、開発完了後の改善施策の提示の有無など、確認すべきことは数多くあります。

「制作会社自らSEO要件考慮したWebサイトを開発しておいて、直後に改善案や改修が入るのはおかしいのではないか、それは本来制作段階で盛り込まれていてしかるべきではないか」と疑問をお持ちになる方がいらっしゃるかもしれません。しかし現実には、制作段階で100%完璧に意図通り盛り込むことは難しいことも多々あり、コンテンツも全て揃ってサイトに反映して初めて変更の必要性が判明することもあるのです。

例えば「特定重点キーワードの強化を行う」「意図しなかった重複コンテンツの処理をする」「強化対象掛け合わせキーワードの変更を行う」といったことは、実際に良く行われます。ただし、グローバルナビゲーションのソースコードを~に変更しましょう」といった具合に、そもそも開発段階で予見できているはずのことを幾度も改修する必要が生じたのであれば、それはWeb制作会社と交渉する余地があるかもしれません。


Web制作会社のSEOスキルを見分ける

SEO会社の選び方と同様に、Web制作会社のSEOの技術やノウハウを事前に質問して確認することも良い方法です。「ほぼ正解が存在する質問をしてノウハウの程度を確認する」こととと共に「正解がない質問をして、その回答内容の合理性からノウハウを推定する」という組み合わせをすると良いでしょう。

例えば、情報点数が多く、条件絞り込みにより結果一覧を取得するウェブページ(例 コマース全般、飲食、不動産、旅行など)が存在するサイトであれば、重複コンテンツの問題とその処理の手順について質問すると良いでしょう。canonical を知らなければ、あるいはその説明が曖昧であれば、SEOのスキルは期待できないかもしれません。

あるいは、サイト内カテゴリの設計において UX と SEO の要件をバランスよく実装するためにはマーケティング、UX、SEO それぞれの一定水準以上のスキルが要求される比較的難しいポイントであるので、このあたりの質問をしてみても良いかもしれません。例えば、ファッション系サイトにおけるカテゴリ設計と健康食品のカテゴリ設計は要件が大きく違います。同じ家庭用ゲーム機でもゲーム機本体とゲームソフトではカテゴリ設計要件が変わります。カテゴリ設計における要点を、モデル別の違いに触れつつ技術/マーケティング両側面を捉えて納得いく回答ができるようなら問題ないでしょう。

簡単な質問でSEOの程度を判定できることもあります。例えば「SEOも考慮してWordPressを導入して制作をお願いしようと考えているのですが~」などと、WordPress が検索エンジン対策的にどうなのかを質問した時に、WordPress が SEO に強い/弱い(有利か否か)という回答を、どの点が対策上有利に働くのか(WordPressシステムそのもの、HTMLテンプレートのコーディング、それともSEOを考慮したプラグインの豊富さなのか)を交えながら回答してくれるはずです。システムそのものがSEOに有利なんですといえば問題外です。逆にプラグインが豊富であるから~という回答をされた場合、そのWeb制作会社はSEOで推奨されているプラグインに依存しすぎる可能性があり、それをリスクとして認識する必要があります。つまり、プラグインというのはツールに過ぎず、それの利用者が正しいSEOを理解した上で使いこなして初めて有効に活用できるのです。プラグインの中にはデフォルトのまま、あるいは間違ったSEOの知識に基づく設計思想によって開発されたものも含まれるため、プラグインを正しく使えないためにかえってSEOにネガティブな影響が生じる危険があります。

インターネット上で時折話題になる、SEO向きにWordPressプラグイン集や、それを実際に活用したウェブサイトを見ると、本来はインデックスさせるべきページをクロール許可していなかったり、不適切なタイトル生成ルールが行われていたりするケースは少なくありません。


第三者のSEO会社に入ってもらう方法もある

第三者のSEO会社に間に入ってもらい、要件設計の段階からSEO視点での内容を確認してもらうという方法もあります。大規模なWeb開発案件になると Web制作会社単独で必要なSEO要件を全て満たすことは簡単ではないためです。

家に住み始めてから、カーテンや絨毯を入れて模様替えをする、キッチンや洗面所の改修を行うことは(コストはともかく)可能ですが、もともと2階建ての家を3階建てにしたり、住宅内のレイアウトそのものを変更することは容易ではないのと同じです。コンテンツ自体の変更は後からでも可能ですが、情報アーキテクチャやURL生成ルールなど、サイトの骨組みにかかわる部分は後から変更するのが大変であり、そうした「SEOのために後から手直しするのは容易ではない部分」の大半はサイト構築段階に関わるものです。したがって、そうした大事な根幹にかかわる部分を失敗しないようにセカンドオピニオンを求めるように外部のSEO会社に間に入ってもらうという方法は有効なことがあります。


cf. SEO は長期的に取り組むソリューションである


「知ったかぶりのSEO担当者」が一番面倒くさい

不幸なのは、発注先の Web制作会社の担当者が中途半端にSEOの知識を持っていて、かつ第三者の意見に耳を貸さないケースです。数年前の古い、時代遅れのSEO知識をひっさげて、かつ自分が正しい、耳を貸さない性格の人間が窓口になってしまうと不幸で、第三者のSEO会社を入れても問題は解決しません。従って最初から別のSEO会社に入ってもらうこと、Web制作会社とSEO会社で意見が対立した時にどのように問題を解決するのかを予め握っておいてからプロジェクトを進めると良いでしょう。

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