ランダムライトが高速化した「Samsung SSD 850 EVO」の性能
840 EVOよりランダムライト性能が向上
850 EVOのシーケンシャルリード速度は全モデルで最大540MB/s、シーケンシャルライト速度は全モデルで最大520MB/sと非常に高速だ。840 EVOのシーケンシャルリードとライトも、それぞれ最大540MB/s、520MB/sで、スペック上は変わっていない。
低価格な小容量モデルでは速度が低下する製品も多いが、850 EVO/840 EVOは、低価格な120GBモデルでも大容量モデルとシーケンシャル性能については変わらない性能を誇る。
Samsung SSD 850 EVOスペック表(括弧内は840 EVOのスペック) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
120GB | 250GB | 500GB | 1TB | |||
シーケンシャル [MB/s] |
リード | 540 | 540 | 540 | 540 | |
ライト | 520 | 520 | 520 | 520 | ||
ランダム [IOPS] (4KB,QD1) |
リード | 10,000 | 10,000 | 10,000 | 10,000 | |
ライト | 40,000(33,000) | 40,000(33,000) | 40,000(33,000) | 40,000(33,000) | ||
ランダム [IOPS] (4KB,QD32) |
リード | 94,000 | 97,000 | 98,000 | 98,000 | |
ライト | 88,000(35,000) | 88,000(66,000) | 90,000 | 90,000 |
また、850 EVOは、ランダムアクセス性能が非常に高い。840 EVOでは、4KBランダム(QD1)のライトは3万3000IOPSだったのに対し、850 EVOでは4万IOPSと、2割以上も向上している。
4KBランダム(QD32)のライトは、120GB/250GBモデルが8万8000IOPS、500GB/1TBモデルが9万IOPSであり、小容量の120GB/250GBモデルは、840 EVOより大きく性能が上がっているのがわかる。
保証期間が2年延びて5年に
850 EVOは、性能が高いだけでなく、耐久性や信頼性もトップレベルだ。書き換え可能容量(TBW)は840 EVOの44TBから、850 EVOでは120GB/250GBモデルが75TBに、500GB/1TBモデルでは150TBへと大幅に増加している。
120GBモデルと250GBモデルの場合、毎日40GBの書き込みを行なっても5年以上もつ計算になり、500GBモデルと1TBモデルの場合は、毎日80GBの書き込みでも5年以上もつ計算になる。
そのため、840 EVOの製品保証は3年間であったが、850 EVOでは5年保証を提供している。Samsungのプロフェッショナル向けSSDである850 PROでは業界最長の10年保証を実現しているが、850 EVOの5年保証というのも、メインストリーム向けSSDとしてはトップクラス。ちなみに、他社製品のほとんどが3年保証である。
酷使しても5年は使えるというのなら、買い替えサイクルが長い企業などでも導入しやすく、ヘビーユーザーも安心して利用できる。さらに、850 EVOでは、省電力機能も強化されており、840 EVOでは非対応であった、DEVSLPモードをサポート。
スタンバイ時の消費電力(DEVSLP Power)は、120GB/250GB/500GBモデルで2mW、1TBモデルで4mWと非常に低いため、Ultrabookや2-in-1など、バッテリーで動作する製品にも最適だ。
ベンチ環境
2013年に登場した840 EVOも、メインストリーム向けSSDとしてトップレベルの性能を長らく誇っていたが、その後継として登場した850 EVOは、ランダムライト速度などで、840 EVOを上回る公称パフォーマンスを実現している。
そこで、その性能を実際に検証してみた。テスト環境は、以下に示した通りである。検証に用いた850 EVOと840 EVOの容量はどちらも500GBである。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | Intel「Core i3-4130T」(2.9GHz) |
マザーボード | ASRock「Z97 Anniversary」(Intel Z97 Express) |
メモリー | DDR3-1600 4GB×2 |
ビデオカード | GeForce GTX 650 |
システムHDD | Western Digital「WD10EADS」(1TB) |
OS | Windows 8.1 Pro Update 64bit |
シーケンシャルリードは
514MB/sを記録
まずは、「CrystalDiskMark 3.0.3b」の結果から見ていこう。850 EVOのシーケンシャルリード速度は、514.5MB/sにも達しており、非常に優秀だ。
840 EVOのシーケンシャルリードもスペック上は同じであり、結果は512.4MB/sとわずかに低くなっているが、誤差の範囲であろう。
シーケンシャルライト速度も、850 EVOと840 EVOでスペック上の差はないが、CrystalDiskMarkの結果でも、850 EVOが498.4MB/sなのに対し、840 EVOは496.2MB/sとほとんど差はなかった。
850 EVOは、ランダムリード/ライトの性能も非常に高く、840 EVOの4KBランダムライト速度の結果は102.2MB/sであったのに対し、850 EVOでは109.8MB/sと上回っている。
次に、データとしてすべて「0」を書き込む0Fillでも計測してみたところ、850 EVOのシーケンシャルリードは510.7MB/s、シーケンシャルライトは496.5MB/sであり、通常(ランダムデータ)の結果とほとんど変わらなかった。
書き込みの際にデータを圧縮してから書き込むタイプのSSDでは、ランダムデータよりも0Fillのほうが性能が向上するのだが、850 EVOや840 EVOは、ランダムデータでも0Fillでもほぼ結果が同じであり、書き込み時にデータ圧縮処理をしてないことになる。
製品によっては、スペック上の性能を上げるために、データ圧縮処理を行なっているものもあるが、850 EVOや840 EVOは、どのようなデータでも安定した性能が得られるわけで、より優れた設計といえる。
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