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マイクロソフト・トゥディ 第121回

いつでも・どこでも・どんなデバイスでも仕事ができる、クラウド時代の新統合ライセンス

2014年11月28日 11時00分更新

文● 大河原克行

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 日本マイクロソフトが、クラウド時代の新たな統合ライセンスと位置づける「Enterprise Cloud Suite」を、12月1日から提供開始する。

 略してECSと呼ばれるこのライセンス制度は、マイクロソフトのボリュームライセンス制度である「Enterprise Agreement」(EA)のひとつとして提供され、250台以上のデバイスを利用している企業ユーザーが対象となるものだ。

 そして、今年2月にCEOに就任したサティア・ナデラ氏が掲げた「クラウドファースト、モバイルファースト」の方針に則った新たなライセンス制度ともいえ、「現在のクラウド、モバイル環境でのワークスタイルにあわせてライセンスへと進化させたもの」(日本マイクロソフト 執行役専務エンタープライズビジネス担当の小原琢哉氏)と位置づける。

日本マイクロソフト 執行役専務エンタープライズビジネス担当の小原琢哉氏

 ECSは、マイクロソフトの統合型情報共有クラウドサービス「Microsoft Office 365 E3」と、モバイル環境管理ソリューション「Enterprise Mobility Suite」、クライアントOSのWindows Enterpriseの利用権である「Windows Software Assurance per User」の3つをひとつのライセンスとして提供。新規に購入するユーザーの場合、既存の仕組みと比較して約15%安く購入できるほか、既存のEAユーザーが全面的に移行する場合には、約20%のコストダウンが図れるという。

マイクロソフトの統合型情報共有クラウドサービス「Microsoft Office 365 E3」

モバイル環境管理ソリューション「Enterprise Mobility Suite」

クライアントOSのWindows Enterpriseの利用権である「Windows Software Assurance per User」

 「EAの一部をECSに移行したいという場合、ECSに全面的に移行したいという場合、新規にECSを導入するといったように、様々な移行パターンが想定される。しかし、かなり多くのケースにおいて移行が可能な措置を用意している。

 また、それぞれによって、どれぐらいのコストメリットが出るのかにも差がある。1人で複数のデバイスを利用しているユーザーが多い企業こそ、大きなコストメリットがある」(日本マイクロソフト 執行役専務エンタープライズビジネス担当の小原琢哉氏)と語る。

クラウド時代、モバイル時代にあわせたライセンス制度

 今回の新たなライセンス制度において注目しておくべき部分は3つある。

 ひとつは、日本マイクロソフトが強調するように、クラウド時代、モバイル時代にあわせたライセンス制度となっている点だ。

 それに向けた最大の変化は、これまでのデバイスライセンスから、ユーザーライセンスへと移行したことである。

 すでにコンシューマ向けOfficeのライランス制度が、Office 365 Soloでユーザーライセンス方式に、Office Premiumではデバイスライセンスとユーザーライセンスが融合した仕組みへと移行しているが、今回のECSでもユーザーライセンスへと移行することになる。

 これまでのライセンス制度では、デバイス単位でカウントし、各デバイスにWindows Proが必要となっていた。そして、基本は単一のデバイス上でこれが利用できるという仕組みだ。しかしECSでは、ユーザー単位でライセンスが提供されるため、ユーザーが所有するデバイスでの利用制限は「事実上の無制限になる」とする。

 実際には、Windows搭載PCで5台、10.1型以下のWindowsタブレットで5台、非Windowsデバイスで5台の合計15台までの利用が可能だ。ひとり当たりでこれだけのデバイスを擁する社員は稀だろう。

 また今回の新たなライセンスでは、VDI環境への拡張やMDOPも、追加コストなしで複数デバイスで利用できることが特徴。そして、主要デバイスとなるPCにだけWindows Proがあれば、これだけの多くのマルチデバイスで利用ができるというわけだ。

 これは、ESCで提供される「Windows Software Assurance per User」によって実現されるもの。「まさに、『per User』という名前に鍵がある。対象OSを搭載した主要デバイスを所有するユーザーは、所有するすべてのデバイスでWindows Enterpriseを利用できる」(小原執行役専務)とする。

いつでも、どこでも、どんなデバイスでも

 同社では、従来のIT利用環境を「就業時間内という決められた時間に(Fixed Time)、社内という決められた場所で(Fixed Place)、会社から支給された決められたデバイスで(Fixed Device)仕事をするという『3F』のワークスタイルであった」と定義する一方、これに対して、現在のIT利用環境が「仕事の時間とプライベートな時間を超え、いつでも仕事を行ない(Anytime)、外出先や出張先などどこでも仕事ができ(Anywhere)、個人が所有するデバイスの利用や、複数デバイスの利用など、どんなデバイスでも利用する(AnyDevice)という、『3A』の時代が訪れている」と位置づける。

従来のIT利用環境は、就業時間内という決められた時間に(Fixed Time)、社内という決められた場所で(Fixed Place)、会社から支給された決められたデバイスで(Fixed Device)仕事をするという『3F』のワークスタイル

現在のIT利用環境は、仕事の時間とプライベートな時間を超え、いつでも仕事を行ない(Anytime)、外出先や出張先などどこでも仕事ができ(Anywhere)、個人が所有するデバイスの利用や、複数デバイスの利用など、どんなデバイスでも利用する(AnyDevice)という、『3A』のスタイルに移行している

現在のワークスタイル(3A)のイメージ

 クラウド時代とモバイル時代では、マルチデバイス環境が前提。ECSは、それにあわせたライセンス制度へと移行したというわけだ。

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