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OSS版のユーザーは世界で5億人!Google、MSに続く第3の選択肢へ

Web 2.0時代生まれのZimbra、クラウド・モバイルに挑む

2014年11月28日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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Webブラウザベースのメールやカレンダーなどを提供する「Zimbra」を覚えているだろうか? Web 2.0時代に次世代エンタープライズアプリケーションの可能性を見せてくれたZimbraは紆余曲折を経て、クラウド・モバイル時代に舞い戻ってきた。

企業向けマッシュアップアプリの走り「Zimbra」の紆余曲折

 2003年に設立されたZimbraは、Webブラウザベースのメールシステムからスタートしている。当時は「Web 2.0」というキーワードを旗印に、コンシューマーテクノロジーを取り込んだエンタープライズアプリケーションが次々と勃興してきた時代で、2004年にはその走りともいえるGmailがスタートしている。こうした時代背景を受け、新しいコミュニケーションプラットフォームを作ろうとしたのがZimbra。Zimbra Japan代表 松岡信也氏は「社内のコミュニケーションでもっとも使うのはメール。だから、いろんなものをメールから使えるようにしようというのが、もともとのZimbraのコンセプトです。これをWeb 2.0の技術で作ったわけです」と語る。

Zimbra Japan代表 松岡信也氏

 Zimbraは「Zimlet」と呼ばれるマッシュ機能により、外部のアプリケーションやWebサービスとAPIで容易に連携できるのが特徴だった。Zimbraは先見の明のある日本のパートナーたちによっていち早くローカライズされており、記者の私もデモを見せてもらったが、メールに挿入されているURLをマウスオーバーするだけで地図が開けるというマッシュアップは実に新鮮だった覚えがある。Zimbra シニア ソリューションズアーキテクトの関根章弘氏は、「メールと検索を組み合わせてコラボレーションに役立てようというコンセプトで製品を作ったのがZimbraです」と語る。

Zimbra シニア ソリューションズアーキテクトの関根章弘氏

 Gmailへの対抗もあって、Zimbraがオープンソース化を推進した結果、7年半をかけて商用ユーザー(メールボックス数)を1億まで増やした。しかし、こうした堅実な成長とは裏腹に、会社自体はオーナーが変わり、腰の座らない状態が続いたのも正直なところだ。まず2007年、米ヤフーがZimbraを買収。ビジネスホスティング事業を拡大すべく、Zimbraを中心に据えようとしたが、その後コンシューマー系のサービスでGoogleが台頭。屋台骨を守るべく、ヤフーがビジネス系サービスから撤退したのはご存じの通りだ。

 その後、アプリケーションレイヤーの強化を目指すVMwareがヤフーからZimbra部門を買収。2011年にバージョン7.1となる「VMware Zimbra」で日本語版が投入され、サービスプロバイダーでの実績を増やす戦略を進めることになる。この時点でZimbra部門に合流した松岡氏は「コンシューマー系サービスで使ってもらい、実績と安定性を認めてもらった後、エンタープライズのお客様に使ってもらう計画だった」と語る。しかし、その後インフラレイヤーにフォーカスするVMwareの方針変更を受け、2013年7月には米Telligentに売却されることになる。

2013年にTelligentによる買収の背景は?

 Telligentは2004年に設立されたソーシャルプラットフォームのソフトウェア会社で、米国市場ではJive Softwareとともに市場の覇権を争う2強。「デルのサポートコミュニティやタイトリストのユーザー・愛好者コミュニティとして使われています」(関根氏)といった実績がある。

 こうしてZimbraを買収したTelligentだが、グローバルで見た場合のZimbraの認知度が高かったため、合流後はTelligentの社名をZimbraに変更。この結果、新生Zimbraは、メールやカレンダー、アドレス帳、タスク管理などのツールを統合した旧Zimbraの「Zimbra Collaboration」、ブログやフォーラム、Wikiなどを統合した旧Telligentの「Zimbra Social」の2本柱を展開するソフトウェア会社になった。「新生Zimbraのロゴを見ればわかるのですが、人と人がコミュニケーションをして、ハッピーになるというのが両者の想いです」と関根氏は語る。

ZimbraとTelligentの歩んできた道のり設立からTelligentによる買収、新生Zimbraまでの道のり

 Telligent買収後のZimbraは世界135カ国、販売代理店が750以上でビジネスを展開する規模になっている。グローバルでの社員が250名しかいないにも関わらず、商用版で約1億ユーザー、OSS版で5億ユーザーを超えるという。

 この理由は、Zimbraが多くのサービスプロバイダーで採用されているためだ。米国ではコムキャストなど大手CATV会社や通信事業者が数千万単位で加入者を抱えているほか、日本でもビッグローブなど複数の事業者が自社サービスにZimbraを利用している。なお、日本では2013年の10月にZimbra Japanが設立され、営業やパートナーとのコミュニケーションを拡充しているところだ。関根氏は、「たとえば、南米の行政関係ではスノーデン事件以降、グーグルやマイクロソフト以外のプラットフォームを探し始めており、そこにZimbraがミートします。その点、ZimbraはOSS版でかなりのコードが公開されています」と語る。

(次ページ、ようやく時代が追いついた?次は3つ目の柱を立てる)


 

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