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「100万円で電気自動車作ってみた」未来のヒット商品アイデア5点:Maker Faire Tokyo 2014

2014年11月25日 16時00分更新

盛田 諒(Ryo Morita)/大江戸スタートアップ

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 テクノロジー系DIY工作イベント「Maker Faire Tokyo 2014」が11月23~24日に、東京国際展示場で開催された。主催は技術出版社のオライリー・ジャパン。DIY作家「Maker」約300組が集まり、ロボットや自作楽器などのアイデアを披露した。来場者は昨年開催時で9200人。

 クラウドファンディングブームも手伝って、DIY作家に流行の兆しだ。同イベントは電子工作好きや大手メーカー従業員が作品を披露する趣味の場だったが、製品化が期待される技術の展示会へと変化しつつある。Makerたちが手がける未来のヒット商品を、観客たちとともに「見に行ってみた」。


学生が開発した電気自動車「e-car」

 九州工業大学の学生サークルが3年前から開発している電気自動車「e-car」。学生たちが原価100万円ほどで開発し、電気自動車コンテスト「四国EVラリー」で優勝を飾った。数百万円するリチウムイオンバッテリーではなく安価な鉛蓄電池を使うなど、コストダウンを念頭に置いた設計。

 走行可能距離はフル充電で50キロメートル程度だが、軽量化やコントローラー側の設計改善によってさらに走行距離を伸ばしたいという。現在は運転アシスト開発にも挑戦している。やはり予算はかけず、安価なカメラセンサーで実現する方針だ。「学生でも出来る」精神で、大手メーカーより「安い」ものづくりに挑戦する。


スマホでLEGOを動かすケーブル「GlueMotor」

 シリコンバレー在住のエンジニア寺崎和久氏が開発している、スマートフォンのイヤホンジャックに接続するだけでホビー用のサーボモーターを動かせるケーブル「グルーモーター」(GlueMotor)。展示会場ではサーボにLEGOブロックを接続、子供たちがスマートフォンでLEGOをウィンウィン言わせて遊んでいた。米シリコンバレーの「Maker Faire」でも2012年から3年連続で授賞しており、同業界で知らない人はモグリらしい。

 大阪の共立電子産業がキットとして発売しているが、寺崎氏はグルーモーターの技術を使った企業にあらわれてほしいと期待している。熊本のアドプラス社はグルーモーターの技術を使ってiPhoneのスタビライザー「エレファント・ステディ」を開発中、Kickstarterで800万円以上もの資金を調達している。スタビライザーは「パワード・バイ・グルーモーター」の表示をつけて、来年2月に発送開始予定だ。

 ちなみに寺崎氏はYouTubeでも電子工作を発表していた。「iPhoneを歩かせる」という謎の発明を動画にしたが、再生回数がミリオン(100万回)に届かなかったことにガッカリした。誰でもいいから自分の技術でミリオンヒットさせてほしいと、今回のように技術をあまねく提供する道を選ぶことにしたのだとか。なぜそこまで100万回にこだわるのかと聞くと、「そりゃミリオンこだわるでしょ」と寺崎氏は関西弁で応じた。


スノーボーダー追跡ドローン「ソラカムプロジェクト」

 スノーボードが好きなエンジニアたちが集まって開発した、スノーボーダーをGPSで追跡するドローン「ソラカムプロジェクト」。自分たちの滑走姿を空撮できないかと考え、最初はラジコン「ファントム」を飛ばしてみたが、操縦が難しい。そこで2~3メートルの距離からボーダーを追いかけられるドローンを開発しはじめた。

 スノーボーダーが「ビーコン」と呼ぶGPS発信機を持ち、ドローンはビーコンの位置情報と自分の位置情報を計算して追いかけていく形。開発は今年で2年目。まだ安全性は確保できていないため自分たちの趣味でしか使えないが、制御側のプログラムを改めることで一定の距離を保てるよう改善されているそうだ。

 なおカナダのスタートアップはスマートフォンのGPSを使って自動追尾するドローンを開発している。ドローンのアイデアは、たとえ落ちても雪のクッションがあるゲレンデからこそ生まれるものなのかもしれない。


小型軽量センサーモジュール「ちょっとすごいロガー」

 稲川貴大氏によるプロジェクト「チームはかるひと」では、加速度、ジャイロ、地磁気、気圧、GPS、温度など複数センサーを統合した小型モジュール「ちょっとすごいロガー」シリーズを開発している。防衛省、ホンダのような大手メーカーも研究用にモジュールを購入しているという。東京大学のある研究では、防水仕様の「ちょっとすごいロガー」を鳥に取りつけて行動調査に使っているそうだ。

 稲川氏はもともと大学でロケット周りの研究をしていた。ハードウェアのセンサー計測にはスマートフォンが使われることが多かったが「飛びもの」と言われるロケットや飛行機にとって重量は大敵、計器は1グラムでも軽量化したい。GPSなどセンサー単体を小型化しているケースはあったが、複数のセンサーを束ねる形で1つの小型基板にまとめている例はないと考え、開発をはじめた。

 なお稲川氏の本業は、堀江貴文氏が創立したロケット会社インターステラテクノロジズの最高経営責任者。「ちょっとすごいロガー」は趣味ということだが、最強の趣味に違いない。


世界最小級のArduino互換基板「8pino」

 デザインユニットVITROが開発している世界最小級サイズのワンボードマイコン・アルデュイーノ(Arduino)互換基板「8pino」。USBではなくmicroUSB端子を使うことで横幅8mmの思いきった小型化をするとともに、部品のようなデザインにしているのが特徴だ。メーカーがプロダクトデザイン系の展示会に製品の試作品を出すとき、基盤むきだしの状態で出展するのはためらいがあるという声を受け、「美しさ」にこだわった。

 VITROでは8pinoを使い、何センチ書いたかを測定する「ペンの万歩計」といったアイデアを提示しており、今後ウェラブルデバイスや小型デバイスに応用される可能性は大いにある。価格は1個あたり800円。Maker Faireで用意していた88個の原品は「即完売」だったそうだ。


番外編:謎の発明「きのこたけのこ判別機」

 きりん(a.k.a.カッチさんP)氏が開発している、位置情報と画像認識によってお菓子「きのこの山」「たけのこの里」を判別し、ロボットアームが仕分ける機械「きのこたけのこ判別機」。言うまでもなく無意味だが、きりん氏は今までも「必ず6が出るサイコロ」など変わった機械をたくさん開発してきた。

 無意味であるがゆえ高いエンターテイメント性が評価され、「必ず6が出るサイコロ」はゲームセンター向けのプライズとして商品化が決まった。すでに試作品が出来上がり、完成に向けてメーカーが開発中という。期待が高まるのはきのこたけのこ判別機の製品化だが、きりん氏によれば「原価は1万5000~2万円」。

 冗談が分かり、そろばん勘定が出来る玩具メーカーがあらわれないものか。需要がどこにあるかは分からないが、面白いことだけは保証できる。


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