このページの本文へ

アマゾンのクラウドがもう止まらない―次の標的はデータベースだ

2014年11月21日 15時00分更新

文● Matt Asay via ReadWrite

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

オラクル、マイクロソフト、それにIBM―本社に連絡した方がいい。

MTI1NDkzNjE4NjI5NjgzODQz

去年、VMware社長のカール・エッシェンバッハはビジネス・パートナーの一団に向かってこう言った。「我々が束になっても本を売っている会社に敵わないというのは、本当に信じ難い」と。無論、彼が言っているのはアマゾンのことだ。そしてどうやら、彼らは本当に勝てないようだ。

事実、アマゾンは、ソフトウェア企業が20世紀のに築き上げてきたビジネスを猛烈な勢いで破壊している。今のところ、アマゾンは成功を収めそうに見える。

事実、今週のAWS re:Inventにおいて、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のチーフ、アンディ・ジャシーは、AWSがアマゾンの「最大のビジネス」になり得ると宣言した。アマゾンの昨年の年間収入740億ドルの内、AWSから発生したのはたった50億ドルしかなかったことを考えると、これは随分と大胆な発言だ。

大胆、だが、充分真実にもなり得る。

企業に照準を合わせろ。あらゆる企業に

AWSの成長は、パブリック・クラウド・プラットフォームの主流であることを考えれば、驚くことではない。

驚くのはその成長の速度だ。歴史上最速の成長をみせるソフトウェア・ビジネスとも評価されている。ジャシーはre:Inventの参加者に、AWSが100万人のアクティブ・ユーザーを持っていて、その「直近の収益成長率が前年比率40%増を記録した」と述べた。

Source: Ben Evans

Source: Ben Evans

AWSが既存のソフトウェア市場を荒らすことなく成長することはあり得ない。最近アマゾンは、「企業の痛みマネジメント」事業に力を入れている。企業の痛みを的確に捕らえ、その解決には、優れたインフラを構築することであたっている。

収益を生むデータベース

アマゾンは今週、クラウド事業の野望を複数の形で示した。だがその中でも、競合他社が最も警戒すべきはAuroraだ。それはハイエンドのリレーショナル・データベース・サービスを提供し、MySQLへの投資と自社製NoSQLによるDynamoDBを補うものだ。

モルガン・スタンレーのアナリストが詳細を報告している。

アマゾンは3年間の開発期間を経てAuroraを発表しましたが、我々の観点からすると、これはオラクル(全「データベース」のほぼ半数を占める)やIBM、マイクロソルトのリレーショナル・データベース管理システムと真っ向から競合するものです。ガートナーによれば250〜300億ドルの市場を持ちます。MySQLはオープンソース・データベースでリードしていますが、オラクルの伝統的なデータベース・プラットフォームには遅れをとっています。アマゾンは、競合における自社の強みはAuroraと既存のAWSインフラとの深い統合にあり、それによって各企業は全ワークロードを単一プラットフォーム上で簡単に管理できるようにする、としています。また、AuroraはMySQL対応なので、IT管理者が作業環境をAuroraに移行し易くするだろう、とも考えています。Auroraは既存のデータベース・ソリューションと比較して5倍の性能を、1/10のコストである1時間あたり0.29ドルで提供できるだろうと、ジャシーは考えています。

データは、特に現代において、コンピューティングの中心だ。Auroraを発表することで、アマゾンは巨大IT企業に宣戦布告したのだ。ユーザーとなる企業は、AWSに新しいアプリケーションを携えて殺到し、すでにAWSへワークロードの移行を開始している。

関連記事:「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」がソフトウェア・ビジネス史上最速で成長できた理由

Auroraの投入でその速度は加速していくことだろう。データセンターの高価なオラクルにアプリをつっこんでおく理由も急速に消えていくからだ。

プライベート・クラウド、もちろんあります

もう一つの意義深い関心事は、AWSがデータセンターへと浸透していくその方法とでも言うべきものだ。

全てのワークロードがパブリック・クラウド・プラットフォームで作業可能というアマゾンの信条は変わることはない。しかし、クラウド嫌いなCIO達にバーチャル・プライベート・クラウド(VPC)と呼ばれる魅力的サービスも提供してきた。ジャシーによると、「弊社のVPCは、本当に顧客の皆さま自身のデータセンター・トポロジーの拡張となり」、企業がAWSの隔離された片隅でデータを扱うことを可能にした、とのことだ。

ガートナーの予測では、世界企業のIT市場は3.6兆ドルの価値を持つという。「ハイブリッド・クラウド」と、既存サービスからの移行が簡単な製品の連続発表で、アマゾンはIT消費支出の全てを手に入れたいと宣言したのだ。

現状、AWSに賭けないのは賢いとは言えそうもない。

トップ画像(Jeff Bezos)提供:Steve Jurvetson

Matt Asay
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中