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進むスマホシフト、「ECはスマホのみ」が急増中

2014年11月26日 11時26分更新

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 「ネット利用デバイスにおける、PC→スマホシフトが進んでいる」「スマホからのアクセスがPCを超えた」という話題は、もう珍しくなくなりました。事業者が実績を公表したり、各種調査(例えばニールセンの「インターネットへの入り口はスマホへ移行」)から裏付けデータも発表されています。私自身も通勤中にスマホで用が足せることで、自宅でPCを起動する機会がぐんと減っていることを実感しているので、そのとおりだろうなと思います。

 D2Cが実施した国内企業に対する調査でも、「サイトトラフィックにおけるスマホ比率がPCを超えています2014年企業のインターネット広告・モバイル広告利用動向調査)」という企業が一定数出現しています。

 今回は、このPC→スマホシフト具合を少し細かく確認してみます。ネット利用における「専らスマホ派」と「依然根強いPC派」で、どれほどシフトレベルが違うのか。それぞれを多く含有していそうな性別、年代を抽出し、「SNS」「Webメール」「EC」の利用デバイスを1年前と比較して、違いを見てみました。

 調査は、下記のように実施しました。

  • PCとスマホ、両方所有者対象
  • 「専らスマホ派」は女性20、30代、「依然根強いPC派」は男性30、40代と定義
  • 「SNS」は「facebook」と「twitter」、「Webメール」は「Yahoo!メール」と「Gmail」、「EC」は「楽天」と「amazon」の利用を合算したもの
  • 週1回以上の利用

生活者全体

 細分化する前に生活者全体のデータを確認すると、SNS、ECで「スマホのみユーザー」が増加しWebメールは1年前と変わらないという結果がでました。

 SNS、Webメールでは、1年前から「スマホから利用計(スマホのみ+併用)」が、「PCから利用計(PCのみ+併用)」を上回っていて、実はその数値の変化は見られません。ただし、「SNS」で「スマホのみ」がやや増加、「併用」が減少しています。

 ECでは、「スマホから利用計」が「PCから利用計」に及ばない状況は1年前と変わりませんが、「PCから利用計」は減少し、着実にスマホから利用計の比率が拡大しています。特に「スマホのみ」が増加しましたね(+3.1ポイント)。

専らスマホ派

 「専らスマホ派(女性20、30代)」は、SNSの「スマホのみ」比率は5割に迫り、ECでは「スマホから利用計」が「PCから利用計」とほぼ同比率に増加しました。

 もともとSNS、Webメールでは、1年前から「スマホから利用計(スマホのみ+併用)」が8割を超えていました。極めて少数だった「PCのみ」の人々は、事情があってPCを使い続ける人々だろうと思いきや、更に比率を下げてきました。SNSでは「併用」も減少(−4.4ポイント)した結果、「スマホのみ」が増加(+6.0ポイント)し、5割に届きそうです。

 EC利用は1年前「スマホから利用計」は明らかに「PCから利用計」を下回っていました。しかし、この1年間で「スマホのみ」が増加し「PCのみ」が微減。結果、「スマホから利用計」と「PCから利用計」はほぼ同比率になってきました。また、「併用」が大きく減少し「スマホのみ」にシフトしたようですので、ECはPC・スマホ両方使っていたけど今はスマホだけで十分よ、といったユーザーが増加しているようです。

依然根強いPC派

 「依然根強いPC派(男性30、40代)」は、SNSは「PCのみ」が増加し、ECでは「スマホのみ」が増加しています。「依然根強いPC派(男性30,40代)」のスマホシフト具合はどうでしょう。

 一見で、SNSでの「併用」率の高さが目立ちます。「専らスマホ派」と比較すると、より分かりやすいです。ただ、その「併用」もこの1年で大きくポイントを下げ(−6.2ポイント)、その代わり「PCのみ(+4.4ポイント)」が増加傾向にある事実も確認できます。高頻度の投稿はせずに閲覧が主なユーザーが、PCの方が便利・見やすいという結論に至った結果でしょうか。

 一方、SNSとは逆にECでは、「PCのみ」率が減少し(−6.1ポイント)、その分「スマホのみ」が増加(+6.4ポイント)しています。「専らスマホ派」には及びませんが、「併用」ではなく「スマホのみ」が明らかに増加している事実が着目ポイントでしょう。「のみ」=「決済まで同一デバイスで完結」という捉え方もできます。「依然根強いPC派」であっても、一度便利な体験をすると自然とスマホにシフトしていく様子がうかがえます。

スマホシフトをどう見るか

 実は「PCのみ」ユーザーが増えている、「依然根強いPC派」におけるSNS利用など、属性別にスマホシフト状況も違いが見られます。ただし、いずれの属性でも共通していたのはEC利用におけるスマホシフトでした。「スマホも使う」のではなく「スマホのみ」のユーザーが確かな増加傾向にあることに、正直少し驚きました。

 この理由として、この1年でEC運営側のスマホ対応が飛躍的に進んだと背景もありそうです。更に1年後、「依然根強いPC派」でさえも、「スマホのみ」利用が盛んになっているサービスが他に出てくるかもしれません。楽しみです。

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