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電気の力でイオン質の薬剤が皮膚にしみ込むイオントフォレシスをより手軽に

バイオ発電で薬が速く浸透する世界初の「バイオ電流パッチ」

2014年11月19日 15時50分更新

文● 行正和義

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バイオ電流パッチ

 東北大学は11月18日、バイオ発電の技術を応用して身体に貼ると微弱な電流が発生して皮膚に薬の浸透が促進される「バイオ電流パッチ」を発表した。

有機材料で造るバイオ電流パッチの構成と動作原理

 皮膚を通して薬剤を浸透させる湿布薬などの経皮投与では、イオン系の薬物を浸透しやすくするために微弱な電流を流すイオントフォレシスと呼ばれる手法が開発されている。東北大学大学院工学研究科の研究グループは、酵素を用いたバイオ発電の技術を用いることで、外部電流を必要とせず貼るだけで動作するバイオ電流パッチを開発した。

世界初の体表バイオ発電(制御性・安定性・伸縮性を評価)

 酵素電極は糖分(グルコース)と薬剤を含むハイドロゲルに重ねられて正極と負極は導電性のゴムで接続、酸素を透過するテープで覆われ、酸素と糖分によって電流が生じる。微弱電流(0.3 mA/cm2 程度)は皮膚に痛みを生じるほどではないが、電流(イオン移動)とともに薬剤が皮膚に浸透する。電流は6時間以上持続する

パッチを 1 時間貼付して皮膚浸透を比較 

 ハイドロゲルやテープ、正極と負極を繋ぐ内部抵抗材もゴム製なので伸び縮み可能なため関節部でも貼ることができる。また、有機材料だけで構成され金属を使わず、薄型・安価なうえ安全で、使い終わったらそのまま捨てることも可能。

バイオ電流パッチの開発意義

 ブタによる検証を実施し、薬剤浸透促進が確認された。経皮投与は湿布のように特定位置に薬剤を投与、長時間にわたって投与できることから鎮痛剤やニコチンパッチ、ホルモン(避妊薬)など利点が多く、急速に薬剤を浸透させることができることから各種貼り薬に応用できるとしている。

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