ネタバレ注意: マイクロソフトは低価格帯でモバイル・ビジネスに挑むらしい。
マイクロソフトは先週月曜夜、初となるノキアLumiaスマートフォンの後継機種を公開し、同時に自社のスマートフォン・ビジネスの展望も発表した。
スマートフォンのハード及びソフトウェア・メーカーとしてのマイクロソフトは、Lumia 535という低価格帯電話機を発表した。それ単独でも特筆すべきことだが、その発売時期が、メーカーがフラッグシップ機を売り出し、垂涎モノの新デバイスをデビューさせる、ホリデイ・シーズンを控える時期になることにも注目したい。
マイクロソフトはハイエンドのフラッグシップ機を持たない。今月のLumia 535の発売後も、持つ予定はない。そして、どうやらマイクロソフトはその戦略でいくようだ。
マイクロソフトのユーザー獲得計画
ノキアの社名が除かれたということ以外、新しいLumiaと古いLumiaに大差はない。マイクロソフトの名前がロゴと共に本体の裏表に記されている。一方、既存のスマートフォンはLumiaの名を失い、ノキアの名だけになる。プラスチックケースの色選択や、満足いく(完全にとはいかないが)ハードウェア面のスペックは残る。
535はまず一部のアジア市場で、それから今月後半にはロシアと中東で発売される。低価格帯電話を海外に大量投入する企業は多いが、モバイル戦略の全てを低価格帯に向ける企業は少ない。マイクロソフトの場合、この低価格機はより広い全体的な戦略を指し示している。
「革新は誰の手にも届く物であるべきであり、我が社は従来のやり方だけでなく、自由な発想を持って、最高のマイクロソフトのサービスを提供することでそれを実現します。それもお手頃な価格で」 マイクロソフト電話事業担当副社長、ジョー・ハーロウは発表の際このように語っている。低価格帯スマートフォンのリーダーとなるには、価格の手頃さが鍵となるだろう。
The Vergeのトム・ワレンは、「今年中に他のLumiaのフラッグシップ機が予定されていないことからも、マイクロソフトは低価格機に賭けることでLumiaの売上とWindows Phoneの市場シェアを伸ばそうとしているようだ」と述べている。さらに、これは今年始めにマイクロソフトが買収する以前の、フィンランド企業ノキアが行っていたWindows Phone戦略計画そのものであると指摘した。その証拠として、マイクロソフトが低コストハードウェアの供給メーカーと提携していることを挙げている。
IDCによると、世界のスマートフォン・ランキングで、マイクロソフトのWindows PhoneはアップルのiOS、グーグルのAndroidに続く第三位に位置している。もし低コスト市場に全力を傾け、売上とシェアを上げる計画であるならば、同社はiPhoneやNexus等が繰り広げるフラッグシップ機戦争は避ける選択するかもしれない。
マイクロソフトのLumia 535のアピールポイント
Lumia 535を紹介する中で、ハーロウは「5x5x5」計画を強調した。マイクロソフトの五つのキー・サービス、Skype、Office、OneDrive、CortanaとOneNoteからなるものだ。その実情は以下の通りだ。Cortana以外の全てのサービスは、グーグルのAndroidとアップルのiOSの両プラットフォームでも使用可能なのだ。Lumiaの売り込みポイントとしては説得力に欠けている。
とはいえ、Lumia 535の顧客達は、これらの「利点」が低価格デバイスで利用できることを喜ぶかもしれない。その至って普通のハードウェアに満足する可能性もある。
1、2年前なら、535のスペックは素晴らしいものと言えた。ハードウェアの低コスト志向を考えれば、スペックも驚くほどではない。新しいLumiaは1.2GHzクアッドコア・プロセッサーと1GBのRAMメモリを装備しているが、今ではニュースにすらならない程度のものだ。広角5メガピクセルのフロント・フェーシング・カメラと5インチQHDディスプレイ(解像度960×540)での自分撮りも可能だが、高解像スーパーAMOLED(アクティブマトリックス有機発光ダイオード)画面が一般的になった現在では誰も驚かないだろう。
それでも、低価格機に求められる条件を充分満たしていると言える。スタンダードのLumia 535と、ネットワークの切り替えが可能なデュアルSIMバージョンの2モデルが用意されていて、よく旅行をする人々にとっては便利なものになりそうだ。
低価格帯の商品として、マイクロソフトのLumia 535は高級スマートフォンを買えない人々には魅力的だろう。だが会社のモバイル事業の未来を担う中心軸としては、それ以上の意味を持つ。Lumiaが今後続々と出てくることを期待させるものであるし、マイクロソフトがスマートフォン・プラットフォームでトップを狙うための賭けにでたことを示しているのだ。
画像提供:Microsoft
Adriana Lee
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※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら