このページの本文へ

サーバー感覚でクラウドを導入できるExpress5800/CloudModelとは?

ハイブリッドクラウドを本気で盛り込んだ20年目のExpress5800新戦略

2014年12月12日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

発売20周年を迎えたExpress5800シリーズの次の一手は、ハイブリッドクラウドだった。NECが2014年12月に発表した新戦略では、同社のクラウドサービス「NEC Cloud IaaS」をExpress5800ブランドで売るという思い切った選択を行なった。その裏にある背景をNEC プラットフォームビジネス 本部長の浅賀 博行氏に聞いた。

クラウドとオンプレミスをきちんと連携できる仕組みが重要

 「Express5800はクラウド時代のハイブリッドソリューション基盤へ進化」。先日行なわれたExpress5800シリーズの次世代方針に関する資料に書かれていたキャッチフレーズだ。このフレーズの背景には、企業でのクラウド導入は確実に進むものの、従来型ITとクラウドサービスの使い分けが大きな課題になるという分析がある。浅賀氏は、「最近ではクラウドに対する理解も進み、お客様が適切に使うようになってきています。その結果は、全部オンプレミスでもないし、全部クラウドでもないという結論。そのため、クラウドとオンプレミスとの連携をきちんとできるシステムが必要になってきました」と語る。一方で、多くの中堅・中小企業が仮想化からクラウドに進むのはまさにこれから。しかし、導入しやすいクラウド商品がないという現状もあった。

NEC プラットフォームビジネス 本部長 浅賀 博行氏

 こうした背景で生まれた新商品の「Express5800/CloudModel」は、同社が2014年4月から展開しているNEC Cloud IaaSの仮想サーバーを3年間利用できるというIaaSのパッケージだ。コロケーションでもレンタルサーバーとも異なるが、強いて言えばExpress5800ブランドのVPS(Virtual Private Server)サービスと言えるかもしれない。

 商品はクラウド導入に障壁の高さを感じている中堅・中小企業向けに、利用権を一括で購入できる「売り切り型クラウド」として提供するのが大きなポイントだ。「Express5800というサーバーをクラウドの考え方に入れてしまおうというものです。オンプレミスでサーバーを買っていただいたお客様でも、意識せずにクラウドを活用できるような仕組みを提供しようと考えました」(浅賀氏)というのが登場の背景だ。

NEC Cloud IaaSとExpress5800、CloudModelの位置づけ

従来のサーバーと同じ感覚でクラウドを導入できる

 Express5800/CloudModelは、製品名の頭文字に「R」(ラック型)や「T」(タワー型)と同じように「C」(クラウド型)の冠をつけて、利用可能なリソースを50種類のモデルに定義し、パッケージとして提供するという。コストパフォーマンスを重視したスタンダードモデル「C110a-S」18種類のほか、性能や信頼性を重視したハイアベイラビリティモデル「C120a-H」32種類も用意され、ユーザーのニーズに応える。もちろん、中身はNEC Cloud IaaSなので、ネットワークやファイアウォール、OSまでを含む。「今までのサーバーと同じようにCPU、メモリ、HDDなどのスペックごとにモデル化しているので、お客様もわかりやすいと思います」(浅賀氏)。

Express5800/CloudModelの商品概要

 NEC Cloud IaaSのインフラは同社の神奈川データセンター内にあり、まぎれもなくNECのサーバーで構築されている。オンプレミスとクラウド上のサーバーをポータル画面から一元的に管理でき、運用も効率化できる。「われわれのNEC Cloud IaaSも、NECの商品で運用しているので、オンプレミスと同じツール・環境でシームレスに管理でき、既存のアプリケーションとの親和性も高い」とのことで、オンプレミスと同様に運用管理できるのも大きなメリットだ。

 さらにオンプレミスとクラウドサービスを連携させたハイブリッドソリューションも提供する。たとえば、「ファイルサーバ移行ソリューション」では同社の「NEC Easy Data Migration for File Server(NEDAM)」を使って、オンプレミスのサーバーのデータをクラウドに移行するというもの。老朽化したファイルサーバーの移行先として、クラウドサービスを活用することで無理のないクラウド移行を実現する。その他、クラウドを使ったバックアップやシステム全体をクラウド側のサーバーと同期するBCP/DRのソリューションも用意されることになっており、ハイブリッドならではのメリットが今後加速しそうだ。

ハイブリッドソリューションの提供

中堅・中小企業への導入を優先し、クラウドらしさを封印

 一方で、Express5800/CloudModelは「中堅・中小企業が手軽にクラウドを導入する」という点を最優先させるため、かなり思い切った割り切りが行なわれている。その最たるものはスケールアウトや従量課金などがないという点だ。これに関して浅賀氏は、「オートスケールのような仕組みは確かに魅力的ですが、中堅・中小企業向けのシステムに必須の機能とは考えにくい。また、利用した分に対して料金がかかる従量課金の仕組みも、コストが予想しづらく、IT予算を立て難いため、かえって利用しにくい場合があります」と語る。そのため、従量課金、オートスケールなどのクラウドらしさをある意味封印した。

「オートスケールのような仕組みは魅力的だが、中堅・中小企業向けのシステムに必須の機能とは考えにくい」

 しかし、この割り切りでユーザーは大きなメリットを得られる。使用権をあらかじめ購入しているので、予算化しやすい。また、中堅・中小向け1・2Wayサーバーの売れ筋構成を元にパッケージ化されているので、オンプレミス感覚でクラウドを選べるという。「われわれが20年間培ってきたカスタマーベースをいかにクラウドと連携させ、うまく活用してもらうかが大きなテーマです。どこにシステムやデータを置いても、快適に動くようなシステム環境の構築が、今後目指す方向性です」(浅賀氏)。価格面では既存のモデルと同等だが、電力やファシリティ、運用管理などもすべてマネージドで提供されるため、コスト面でははるかにメリットが大きい。

 もちろん、販売パートナーのメリットも大きい。NEC製の国産クラウドをパッケージのように販売し、将来的には自社ソリューションやSaaSと連携することも可能になる。「販売パートナーも中堅・中小企業に販売できるクラウド商品を求めています。その点、CloudModelはクラウドでありながら、在庫販売でき、従来のように取り扱うことができます」(浅賀氏)。

既存のモデルももちろん強化!新デザインも新たに採用

 クラウドを求める中堅・中小企業にこうした使い勝手のよい商品を提供すると共に、オンプレミスやプライベートクラウド向けのExpress5800シリーズは、もちろん継続的に強化を続ける。今回は2Wayのラック型サーバー「Express5800/R120f-2E」と「Express5800/R120f-1E」、2Wayのタワー型サーバー「Express5800/T120f」が追加された。最新のインテル Xeonプロセッサー E5 2600v3製品ファミリーを採用し、Windows Server 2003のマイグレーションを前提とした仮想化に対応すべく、スペックを大幅に強化した。

 こうしたスペック強化もさることながら、ここで重要になるのは、新デザインコンセプトの策定だ。これはサーバー、ストレージ、ネットワーク、ファクトリコンピューター、ワークステーションなどのプラットフォーム製品で、今まで異なっていたデザインやユーザーインターフェイスを統一し、運用性を向上しようというもの。製品のユーザビリティを統一し、誰にでも扱えるようにするとともに、運用の省力化・効率化を実現する。要はラック全体で同一の使い勝手に統一できるわけで、運用担当者にとってはメリットが大きい。

誰にでも扱いやすい新しいデザインコンセプトを採用

 たとえば、新製品では保守交換時のHDDトレイ種別をわかりやすくしたり、交換可能なパーツを視認性の高いライトオレンジに統一したり、色ではなくLEDの位置でステータスを識別できるように工夫されている。新デザインは2014年9月発売時の新製品から採用されており、対応製品は徐々に拡大していくという。

クラウドの拡大とオンプレミスの需要を考えた現実的な戦略

 サーバーとクラウドを展開するベンダーが、両者を連携させて、総力戦を挑む。20周年を迎えたExpress5800シリーズの次の戦略の意図をまとめれば、そんな感じになるのではないだろうか? オンプレミスに固執するのではなく、かといってクラウドへの一足飛びにもこだわらない。中堅・中小企業の顧客と多くの販売パートナーを持つNECならではの現実的な選択肢と言える。

 もちろん、こうした思い切った戦略の背景には、サーバー導入の代替として、クラウドサービスを利用するニーズが拡大している市場背景にある。また、サーバー自体がコモディティ化し、差異化要因が少なくなっているという事実もある。こうした中、現実に目を背けることなく、ハイブリッドソリューションに本腰を入れたNECが、どのような価値をユーザーに提供していくのか? 今後も注視していきたい。

(提供:NEC)

カテゴリートップへ

ピックアップ