最新トレンドを実践するECサイトを運営する企業に取材し、どのように成果をあげているのかをレポートする「最新トレンドの成功者から学べ! ECサイト研究レポート」。今回は、誰でも無料で簡単にネットショップを作成できるオンラインサービス「BASE(ベイス)」を取り上げる。同社は2014年6月、国内最大級の靴とファッションのショッピングサイト「ロコンド」と業務提携した。提携の背景と狙いについて、BASEの鶴岡裕太CEO、マーケターの金城辰一郎氏と、ロコンドの田中裕輔代表取締役社長に話を聞いた。
母でも作れるネットショップ構築ツール
2012年12月に創業したBASEの出店数は、約2年で11万店舗に及ぶ。「最初は、ぼくの母親でもネットショップが作れるツールがあるといいなと思ったのがきっかけ」と語るのは、BASEの鶴岡氏。大分でセレクトショップ「ルミーナ」を営んでいる50代半ばの母親にとって、楽天などモールへの出店は、ハードルが相当高かったという。
「楽天でネットショップを作ってほしいと言われたときに、自分のネットショップは作りたいけど、お金も知識もなくて作れないっていうニーズがあるんだなということに気が付いたんです」(鶴岡氏)
日々、数千点の商品が登録されるというBASEには、「ネットショップの経営」が目的ではなく、ハンドメイドで作った自分の作品をアウトプットする場として利用する、モノ作りが好きな20〜40代の女性が多い。レザーアイテムやスマートフォンケースなどのデザイナーが自分のブランドショップを運営している例もあり、購入者は男女問わないというのが特徴だ。
「ハヤカワ五味さんという多摩美術大学の学生が『feast』というアンダーウェアのブランドショップをBASEで立ち上げて、すぐに売り切れたことには驚きました」(金城氏)
BASEは誰でもすぐに出店できるが、モール機能がなく、ショップ訪問者に直接働きかける方法がないため、ショップオーナーが自分で集客をしなければならない。feastのようにブランドのコンセプトがしっかりしていて、ファンが付いている人、TwitterやInstagramなどのSNSでフォロワー数が多い人の作品は、際立って売れている印象がある、と金城氏は話す。