このページの本文へ

2015年のモバイルアプリ開発に関する8つの予言

2014年11月13日 23時00分更新

文● Matt Asay via ReadWrite

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

スタンドアローンアプリに代わり、「マイクロモーメント」の時代へ

MTIxNDI3Mjk1MTA0MTA4MDQ1

モバイル開発は簡単なものではない。残念ながら、今後その難易度は更に高くなるようだ。フォレスターの新しい報告は8つの重要な変化がモバイル業界に現れると予言し、開発者は今後も気を抜けないということだ。

フォレスターが正しいのであれば、開発者はより一層忙しくなるはずだ。未だアプリケーション開発をマスターしようとしているにも関わらず、マーケットが変わろうとしている、と言われているのだから。

従来型のアプリ利用ではなく、よりコンテキスト(文脈・状況)に則した「マイクロモーメント」に向かうマーケットの変化が、ユーザー個々のニーズを先取りするようパーソナライズされたあらゆるデバイスにおいて起きています。

ではこの「マイクロモーメント」とは何で、開発者はどのような設計で対応すれば良いのだろうか?

モバイル開発に訪れる大きな変化

途切れがちなインターネット接続や面倒なアプリの配信方法は言うまでもなく、ハードウェアとソフトウェアのエコシステムが多様化しているため、モバイルアプリ開発は困難なものとなっている。それでも、多くの開発者は、モバイルアプリ開発に対応できていると感じているようだ。

「これほど真実と乖離しているものはありません」と、フォレスターのアナリスト、ジェフリー・ハモンドとマイケル・ファッチェミレは主張する。

事実、モバイル開発者が苦闘している間に、マーケットは2015年、8つの大きな変化を迎えることになる、と彼らは書いている。

1.スタンドアローンアプリはその輝きを失うだろう

2.ハードウェアの進化が新たな機会を作り出すだろう

3.モバイルの競争はアクセサリーやエコシステムへとシフトしていくだろう

4.視覚効果がフロントエンドのモバイル体験を支配するだろう

5.現実とデジタル世界の融合が加速するだろう

6.モバイル・コンテキストが高度化するだろう

7.サービスのバーチャル化とAPIデザインツールが全ての開発ツールボックスに見られるようになるだろう

8.ローコード・プラットフォーム(最小限のコードで開発できるプラットフォーム)が集約階層レベルに到達するが、主流になるには苦労するだろう

ユーザーとのインタラクション(対話)が、よりコンテキストに則した形で頻繁に行われる必要があるため、こういった変化が生まれるのだ。

例えばAPIデザインに関して、フォレスターはこう主張している。「モバイルであるか否かを問わず、フロントエンドには、顧客の要求に対応するために柔軟で明確なAPIエコシステムが必要とされています」。柔軟性が無ければ、「企業は個々のフロントエンドに対して、バックエンド・アーキテクチャをそれぞれに対して構築・維持しなければならず、途方も無い労力が必要になるのです」。

しかし、最も驚くべき(受け入れがたい)変化は、スタンドアローン・アプリをメインに据えるモバイル開発からの離脱だ。

マイクロモーメントへの対応

モバイルアプリ開発者にとっての難題は、深刻を極める細分化だ。つまりデバイス、OS、スクリーンサイズやその他諸々の細分化だ。一般的に、モバイル固有の問題なのだが、特にAndroid開発者にとって恐ろしい事態になっていることを、このOpenSignalの図が表している。

a

引用元:OpenSignal(Androidの細分化、2013年7月)

関連記事:ますます悪化するアンドロイドの細分化

開発者達は無視する事によって、ある程度まで細分化に対応してきた。全デバイスでアプリの動作を保証するよりも、市場シェアが大きいものに絞って開発してきたのだ。

このアプローチは、もはや通用しないかもしれない。

フォレスターによると、むしろアプリ体験そのものが、もはや適切なターゲットにはならないのだ。マイクロモーメントがターゲットになる、とハモンドは別のブログ記事で述べている。

一日数回のアプリ利用ではなく、開発者はユーザーに5~10秒の短時間利用を頻繁に行わせる方法を考えなければならないのです。結果として、通知やウィジェット、デバイス間の連携を重要視する事になります。iOS 8は、新しいAPIでその連携をサポートしています。ある意味、自己完結型アプリの黄金時代は終わり、開発者は新たな時代へと順応する必要があるのです。

以前ならありえなかったが、アップルやグーグルといった開発元は、プラットフォーム・サービスやデバイス搭載のセンサーへのアクセスを開放し始めている。報告にはこう記されている。

マイクロモーメントはGoogle NowやiOS 8アプリ拡張といったプラットフォーム機能を通じて行われます。各社はAPIを提供し、それにより開発者達はコンテキストに則した情報をプラットフォーム・モバイル・サービスやHomeKit、HealthKitのような集約アプリに注入する事ができるのです。加えて、通知機能(Android 4.0以降、現在iOS 8にも搭載)も、コンテキストに則したデータでユーザーの注意を惹く手段として、開発者の最大の関心事の一つとなるでしょう。

つまり、アップルとグーグルはトップダウンではなく、開発側がそれぞれのエコシステム内で、より自由に振舞うことを許すようになってきたのだ。

これは開発者、ユーザー双方にとって素晴らしいニュースだ。だが難しい面もある。映画「フィールド・オブ・ドリームス」的に「アプリを作れば、ユーザーが来る」というようなアプローチ以上のものが必要になるのだ。

鍵は分析にあり

事実、体験とはもはやアプリそのものではなくなった。インタラクション分析こそが鍵なのだ。

マイクロモーメントはユーザーの要望、いつどのようにその情報を欲しいのかをしっかりと把握する必要があります。マイクロモーメントはローカル、履歴、そして内部・サードパーティデータのリアルタイム統合によって構成されるのです。

フォレスターは周知の事実をも記載している。「総合的なAPIに投資している企業はマイクロモーメントをサポートする上で優位に立っていますが、他は順応に苦労するでしょう」。

デジタルと現実の世界が有意義な方法で混じりあっている。開発者は現実世界の出来事(例えば、位置情報など)を利用するためにマイクロモーメントを利用する方法を考え、適切なデジタルコンテンツを適切なタイミングで表示させなければならない。

簡単?いいや。必要?絶対的に。

トップ画像提供:Matthew Wilkinson

Matt Asay
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中