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ヤマハ謹製“音のビーム”でヘイグス粒子砲が唸る!

シドニアの騎士5.1chをサウンドバー「YSP-2500」で聴いた

2014年11月14日 11時00分更新

文● ASCII.jp編集部 撮影●篠原孝志(パシャ)

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YSP-2500の筐体を間近で見ると、小型スピーカーが一直線に16個並んでいるのがわかる (C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局

独自技術によってワンボディで本格的な5.1chサラウンドを実現!

 サウンドバーで一般的に採用されるバーチャルサラウンドとは、人間が2つの耳だけで左右のみならず音源の位置を立体的に認知できる仕組みを利用して、仮想的に後方の音を再現できる技術のこと。あくまでも仮想的なものなので、良好なサラウンド効果を得られる範囲が狭いとか、後方の音の定位感が曖昧になりやすいなど、本格的な5.1chと比べると再現性には差がある。

 ヤマハは他のメーカーにさきがけてアナログ放送時代からAVアンプなどによる本格的なサラウンド再生を推進してきたメーカー。それだけに、複数のスピーカーを使用するサラウンドシステムが住居のスペースや設置の手間などの問題で実現が難しいこともわかっていた。

 そしてテレビ放送のデジタル化やDVDの登場でサラウンド音声を収録したソースが続々と登場してきた2000年代には、もっと手軽に導入できるサラウンドシステムが必要と考えて、研究を推進。そうして生まれたのが、テレビ前に置く棒状スピーカー1台+αでサラウンド環境を実現する「デジタル・サウンド・プロジェクター」技術を搭載したYSPシリーズというわけだ。

高価格帯のAVシステムでよく使われるバーチャルサラウンドの仕組み

編集者B 「平たいボディの中にスピーカーがいっぱい並んでいますね」

編集者A 「一列に16個並んでいるのがビームスピーカー。これがYSPシリーズの特徴なんだ。今回は、東芝の薄型テレビ『REGZA 42J8』と組み合わせて『シドニアの騎士』を観てみよう。理屈よりも体験するのが一番だ」

 まずは第1話の「初陣」から、冒頭の仮象訓練装置での奇居子(ガウナ)討伐の場面。不気味な姿の巨大な生命体である奇居子に対し、いわゆる巨大戦闘ロボットである衛人が攻撃をしかける。

編集者A 「おおっ、奇居子が発するうなり声のような音が大迫力です。衛人を攻撃する触手もビュンビュンこちらに迫ってきます。避けた触手が左右後方に流れていく音も雰囲気を出してますよ」

編集者B 「コクピットからの視点だと、スピード感たっぷりの触手攻撃が音によってリアリティーを増してるね。コクピット内の主人公・谷風長道の息づかいも狭い空間内で響くような圧迫感のあるものになっているし、雰囲気は満点といえる」

編集者A 「緊迫感たっぷりで、触手をかわしていく衛人がカッコイイ! 奇居子をカビサシで貫いた瞬間、肉を切り裂くような音が右から左へ移動しました。まさに一閃って感じですよ!」

編集者B 「この後で、これが訓練だとわかるわけだけれど、戦闘アクションの描写は超一級品だね。このシーンで魅了されてしまった人も多いんじゃないかな」

(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局

編集者A 「それにしても、以前聴いた5.1chシステムでの音と遜色のないサラウンド感でした。前方にしかスピーカーがないのに、後方までぐるりと音に包み込まれるような感じがしましたよ」

編集者B 「そこが、YSP-2500の最大の特徴なんだ」

 YSP-2500は、スピーカー部に16個並んだスピーカーを高精度に制御して音のビームを作り出す。狭い間隔で並んだスピーカーから出た音波は隣合ったスピーカーの音波と干渉し、音波が大きくなったり、逆に打ち消し合ったりする。これは水面に石をいくつか投げ入れたとき、それぞれの波紋が影響を受けている様子に近い現象だ。

 これを高精度に制御すると、一定方向に直進する音波を生み出せる。これが“音のビーム”だ。YSP-2500ではこの音のビームを5つ作り出し、さらに、緻密な時間制御をすることでそれぞれの”音のビーム”に角度を付け、壁に反射させることで後方の音を再現しているというわけだ。この原理を利用し、最大7.1chのサラウンドが実現できる。

デジタル・サウンド・プロジェクターの7.1chサラウンド再生イメージ図。音を壁に反射させることで、リア方向からも実際に音が聞こえてくる仕組み

編集者A 「つまり、スピーカーのある場所だけから音が聞こえるのではなく、フロントやサラウンド用の音を壁にぶつけて反射させることで、あたかも周囲から直接音が出ているように聞こえるというわけ?」

編集者B 「その通り。音をビーム状にして直進させることで、いろいろな方向へ音を飛ばすことができる。音を電気的に加工して脳が擬似的に後方からの音と錯覚するバーチャルサラウンドとの最大の違いがこれ」

編集者A 「まさに音のヘイグス粒子砲が部屋を飛び交っているわけですね」

このスピーカーからヘイグス粒子……じゃなかった、音のビームが発射されるわけだ

 YSP-2500は、前作であるYSP-2200の後継機で、16個のビームスピーカーを備えた本体と、薄型でタテ置き/ヨコ置きが可能なサブウーファーとセットになった2ピース構成という点では同じ。

 しかし、当然ながら数々の改良が施され、さらに音質と使いやすさを向上している。一見すると同じようなサイズだが、本体部は高さ51mmとさらに薄型化。また着脱可能な脚部は22~35mmの高さ調整も可能になっている。これはスタンドの低い薄型テレビと組み合わせた際に、画面とスピーカーを重なりにくくするため。逆にテレビ画面の位置が高い場合にも有用だ。

 アルミ材を使用したボディは質感の高い仕上がりも魅力的だが、YSP-2200ではちょうど真ん中で2分割されていたアルミ材を一枚板としたことに注目したい。ボディの剛性がさらに高まることで、不要な振動による音の濁りが抑えられている。

YSP-2500の筐体はテレビのスタンド部をまたぐような形で設置する。シンプルなデザインも◎

シャープな印象を与えるシルバー色もラインナップ

 また、目立たない部分だが、16個のスピーカーの取り付け位置を前方にずらし、ユニットから出た音がスムーズにボディの外へ放射されるように改善している。これによって不要な干渉が減り、よりクリアな音の再現やサラウンド効果の向上を果たしている。

編集者A 「こんな小さなスピーカーなのに、セリフも明瞭でくっきりと聴こえます。画面の下にスピーカーがあるのに、音は画面から出ているような感じもいいですね」

編集者B 「スピーカー配置の改善やボディ剛性の向上で、音の濁りが減って、微小な音まで再現できるようになったおかげだね。ちなみにセンターチャンネルの音だけは壁の反射を利用していないのだけど、スピーカーユニットからの音がスムーズに放射されているので、画面から音が出ているような感じになるというわけ。

 前作のYSP-2200もサラウンド再生の実力などはかなりのものだったけど、YSP-2500になってセリフの明瞭さや力強さなどがすごく良くなった。サラウンド効果だけでなく肝心の音質を大幅に磨き上げているのが最大のポイントなんだ」

編集者A 「そして映像が鮮明だし、色も鮮やかで見応えがありますね。OPの衛人の動きも滑らかだし、ヘイグス粒子砲の発光もパワフルです」

編集者B 「ポリゴン・ピクチュアズによる映像も素晴らしいけれど、AV機器担当としてはREGZAの実力も見事だと言いたい。贅沢にも直下型LEDバックライトを採用したことや、高輝度、広色域を実現していることがはっきりわかる」

 ここで、視聴に使っている薄型テレビ REGZA 42J8についても触れておこう。本機はフルHD解像度のプレミアムモデルで、より上位の4Kテレビでも使われている「直下型広色域LEDバックライト」を採用。高輝度化と広色域化を実現し、明るく鮮明な映像を再現できることが特徴だ。

今回使用したテレビは東芝のREGZA 42J8。実売価格は7万5000円前後

アニメとゲームを存分に楽しみたい“俺たち”のための機能が揃っている

 もちろん、東芝得意の超解像技術も装備。ディテール感豊かな高精細映像の再現が楽しめる。これに加えて、さまざまな種類の映像に合わせて最適な映像を楽しめる「コンテンツモード」を採用。映画用などの色々なモードがあるが、「コンテンツモード:アニメ」では、高画質ソフト向けの「BD」や「ハイビットBD」などのモードが選べる。これらでは“輪郭線がはっきりしている”というアニメの特徴を活かした画作りだ。

 ちなみに、42J8に限らず、東芝の薄型テレビは表示遅延の少ないゲームモードの搭載でも有名。超解像を加えて高精細な映像表示を低遅延で楽しめる。アニメ好きだけでなく、ゲーム好きにもおすすめなのだ。

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