アップルがウェアラブルデバイス「Apple Watch」で生体データを取得する一方、任天堂は「ウェアラブル・ジャナイ・デバイス」で勝負する 写真:アップル
任天堂が30日、都内で経営方針説明会を開き、2014年度の第2四半期決算を発表した。
業績は営業利益が2億円赤字。前年同期の232億円赤字から赤字幅を大幅に圧縮した。世界で322万本を売った「大乱闘スマッシュブラザーズ for ニンテンドー3DS」などヒットタイトルが業績を底上げした形。
また同日、今年1月の経営方針説明会で掲げていた「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)」事業の第一弾として健康(ヘルスケア)事業、「睡眠と疲労の見える化」を発表した。
具体的には、ベッドや布団の横に置いて眠るだけで睡眠状態を計測できるセンサー「QOLセンサー」を開発する。電波(マイクロ波)センサーを使い、体の動き、呼吸、心拍などを体に触れずに計測できるようにする。
同社が事業の要点に挙げているコンセプトが「ファイブ・ノン・センシング」(Five Non Sensing)。身に付けない、体に触れない、操作の必要がない、測定を待たない、設置に手間がかからないの5つだ。
経営方針説明会における岩田聡社長の説明によれば、キーワードは「ノン・ウェアラブル」。
アップルの「アップルウォッチ」(Apple Watch)、ナイキの「フュエルバンド」(FuelBand)のように、腕に巻きつけるなどして生体情報を取得するウェアラブルデバイスを逆転させたアプローチだ。
「眠るときは、できるだけ身につけるものは自分にとって快適なものだけで、身軽に眠りたいものです。何かの機械を腕に巻いたり、特別な寝具に取り替えたりということを求めると、つい忘れたりして、継続していただきにくくなりますから、『身につける必要がない』ことは非常に重要だと思っています」(岩田社長)
今後はQOL事業で取得したデータをデータベースに蓄積し、iPhoneやAndroidスマートフォンと、同社のゲーム機「ニンテンドー3DS」や「Wii U」をかけ橋のようにつなぐ役割を帯びさせる計画。
「任天堂は花札の製造メーカーとして創業してから125年になる企業ですが、これまで娯楽の企業として『人々を笑顔にする』ことが娯楽の使命であると信じ、さまざまな製品を開発・製造・販売してきました。これからは娯楽を『人々のQOLを楽しく向上させる』と再定義することによって、事業領域を拡大することになりました。その取り組みの中で『QOL向上プラットフォーム』を生み出そうとしているとご理解ください」(岩田社長)
図版:任天堂