このページの本文へ

未来を感じるプロダクトデザインは「原点」から生まれる

2014年10月28日 18時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/大江戸スタートアップ

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 電子楽器メーカーが発売したPCDJ用コントローラーではない。アイリスオーヤマの調理家電、2口IHクッキングヒーター(型番:EIH1470-B)だ。2012年発売で、現在の価格は2万円前後。

 シンプルで未来を感じさせるプロダクトデザインだが、特徴は見た目だけではない。

 2口のIHクッキングヒーターは消費電力が大きく、通常は家庭用コンセントを200ボルト用に変更するための工事が必要だが、同製品は付属の電源ケーブルを通常の100ボルト電源につなぐだけで使える。

 工事が不要な理由は、2口の最大消費電力を合計で1400ワットに設定しているため。たとえば左側の口が1200ワットで強く加熱すると、右側の口が200ワットの弱加熱になる仕組みだ。

 両方とも強火が必要な料理には不向きだが、通常の家庭料理なら応用は利く。競合はデメリットを避けてあえて選ばなかった方法だが、気軽にIHを導入したいという声にこたえて開発した。

 ニーズに深くささった同製品は、続々とあらわれた競合をリードする形で売れてきたという。

 デザインにあらわれたシンプルな製品作りは、アイリスオーヤマが掲げている企業方針でもある。つねに消費者の不満を解決することを主軸に、技術先行の開発はしないよう心がけているそうだ。

 一方、大手メーカーは製品の多機能化・高付加価値化を理由に、新製品が出るたびリモコンやパネルなど操作面のデザインを複雑化させてきた。調理家電の過剰なガイドは目を覆いたくなるほどだ。

 必要なものを必要なだけ。同製品に見えた未来は、ごく普通の開発の原点なのかもしれない。


週刊アスキー最新号

編集部のお勧め

ASCII倶楽部

ASCII.jp Focus

MITテクノロジーレビュー

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード
ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中