レジだけではダメ 「陳列」が必要
── APOLLOのプロジェクトのゴールってどこにあるんでしょうか?
AnitaSun 盛り上がればいいみたいな?
── ちょ(笑)
清水 まずはAPOLLOを通して、BOOTHに会員登録してもらうのが第一段階。そこで作品に対する最高のフィードバックである「買ってもらえる」っていう体験をより多くの人にしてもらいたいっていうのが第二段階。開催中にめちゃくちゃ盛り上がって、コメントとかでも色んなやりとりが生まれてみたいな状況になるのが、最終的なゴールだと思います。
── 買ってもらえる体験。
清水 そこですよね。
── 小額課金だと、「Gumroad」がありますよね。最近なら「note」とか。
AnitaSun うーん。Amazonとかもそうですが、レジだけじゃダメなんですよね。売り場がなかったら、どんなものがあるのかわからない。
── それは店員さんが書いたPOPという?
AnitaSun いや、POPがなくても、売り場に並んでるから商品を買いますよね。コンビニがなかったら、絶対に出会わなかったお菓子ってあると思います。
── 確かに。
AnitaSun 売り場って強いんです。キュレーションって、本質的には陳列だと思うんです。それは聴かせる陳列なのか、ただ見せるだけの陳列なのか。いずれにせよ絶対陳列で、隙間なく並べないといけない。わいわいがやがや、次から次へと音楽が流れて、目もちかちか、耳もちかちかみたいな。逆に超隙間だらけで並べても、ひとつひとつの個性が立ってればいいですけどね。テレフォンショッピングみたいに、「これは最高の製品なんだ」みたいな。その点、楽天は成功してますよね。
清水 pixivでもそうですけど、絵を投稿していろいろな人に見てもらって、コメントが付いたりとか、お気に入りされたりとかのフィードバックが得られる。それはそれでもちろん価値があると思いますが、即売会ならお金を払ってまで自分の作品を受け取ってくれる。それはネット上のコメントやお気に入りとは比べられないぐらいの感動を生みますよね。そんな活況をAPOLLOでも再現したいですし、BOOTHもそうですよね。
── 片桐さんとして、APOLLOに期待するところってありますか?
片桐 ひとつはウェブ上の音楽サービスって成功例がないので、その突破口みたいになれたらいいなと。
AnitaSun 海外では「SoundCloud」とかありますけどね。
司馬 日本は権利的に白黒つけ無きゃダメみたいなところが難しいですよね。
AnitaSun すごく大きいですね、権利は。フェア・ユースがある国は強い。日本だとSoundCloudがすごく有名ですけど、ほかにも大きなコミュニティを抱えて新しい音楽ジャンルが生まれたサービスがいくつかある。
── 音楽って、都市やハコもそうですけど、場所がジャンルを生むみたいなところもありますよね。
AnitaSun そうです。それがまさにネット上のひとつの場所で起こっている。……あっ、日本だとウェブでもボーカロイドがネットで生まれたシーンだ! もしもですが、ニコ動からボカロシーンが出てきたように、APOLLOでも何か新しい動きが作れたら最高ですね。
── どんなジャンルが出てくるのか想像つかないです……。
AnitaSun それは「ガラガラポン」しかない。恣意的にやるならそれこそ、別のショップを作ればいいんじゃないですか。より何かのジャンル特化した。
清水 そうですね。APOLLOが本当に使ってもらえるってわかれば、ジャンルごとに開催みたいなことも考えられるし。
片桐 実際の開催の様子が分かるデモページも公開したので、ぜひ11月28日からの本番3日間にご期待ください。
AnitaSun いずれにせよ初の試みなので、同人音楽シーンにとって役立つかを見届けるためにも、まずは初回の成功を祈っています。みなさんにぜひご参加いただけると幸いです!!